シェリー さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 1.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
神の子どもたちはみな踊る
押井監督作品です。
劇場版『機動警察パトレイバー』シリーズや『攻殻機動隊』シリーズでもよく見かける鳥。
クライマックスやシリアスなシーンにはよくいます。それで今回は人間が飛ぶわけです。飛行機に乗って。
内容はあまり知らずに観た方が面白い作品だと思います。物語はぼんやりとしたまま進んでいく構成です。
飛行機の搭乗シーンの臨場感はびっくりするほどの迫力です。またカメラワークが見事です。
死を経験し、常にそれと隣合わせでいながらもどことなく流れる怠惰な雰囲気に
「自分」を見失っていく者、見失いつつある者、流される者、追う者。
どこに向かっているのか、行き着く先はあるのでしょうか。
しっとりとした映画です。
{netabare}
声があんまり良くなかったです。ちょっと不満。
最後、カンナミが死んだのには驚きました。
勝って物語もそして彼らも終わりを迎えると思っていたら死んでしまいました。
結局、ここで行われていることはゲームのようなものでした。
世界の大多数の人間が相対的に「平和」を認識するためには本物の血が流されることが必要なのです。
でも彼らだけは生物からも、空間からも、思考からも、「永遠」に閉じ込められていた。
成長は途中で止み、場所を自分達で選択もできずに、流れゆく時間への認識は薄らいでいき、自己が形になることはない。
この「ループ」からは抜け出すことはできない、許されない。
唯一は戦死。そう、死あるのみです。
何も生まれず、何も満たされない。ただただ温かい泥の中に深く沈んでいく。
それでも「戦争」という名のゲームは止むことなく繰り返され続ける。
まるで何かを演じるように。たとえ誰も見ていなくても踊り続けるのだ。
彼らはそのための「永遠の犠牲」なのです。そう思いました。
{/netabare}
レビューのタイトルは村上春樹さんの短編小説の題名をお借りしてみました。