退会済のユーザー さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
本作のテーマでもある【やりたいことをやる素晴らしさ】。
これは、主人公を穂乃果に据えることで、彼女のドラマが見事に体現してくれている。
そして、彼女と同じぐらい重要なポジション(重要なキャラというワケではなく、あくまでも重要だったのは、そのポジション)に位置していた希も忘れてはならない。
ミューズとなるメンバーの気持ちを引き出すのに、過程から結果まで穂乃果一人に担当させるのではなく、過程は希の関与があったり、友達の後押しがキッカケだったりしていること。その中でも、特に希の存在はかなり大きかった。出来ればこのまま、プロデューサー的ポジションでいて欲しかったんだけど……。
ストーリー性の高い作品となったことで、キャラクターの描写に偏りが生まれてしまったことは、大きなマイナスポイントだと思う。
ストーリー性の優先によって、被害を被ったのは凛。彼女だけでなく、個人的には真姫の掘り下げも物足りなかった。
ミューズのメンバーを通して【やりたいことをやる楽しさ】を表現したいワケだけど、それを表現できてるキャラと出来ていないキャラが生まれてしまった。
ニコやハナヨのように、並々ならぬアイドルへの拘りがあるとか、昔からアイドルになりたかったという明確な動機があるキャラは、それだけでキャラとして輝いている。
そうじゃなくても、当初はただ「やってみたい」という漠然とした思いだったのが段々と大きくなっていくというのも、いかにも部活っぽくて良いと思う。
自分に置き換えてみても、部活に入ったり趣味が生れる時だって、その時は明確な理由がなくても、後々言葉にできる気持ちになっていくというのはあったしね。
ただし、凛や真姫のように、当初は自分のやってみたことを押し隠していた人物を描いたのであれば、そんな彼女たちが実際にアイドルをやってみて、どういう気持ちに至ったのかを、描く必要があると思う。
そうでなければ、希が言ってた「特に理由なんて必要ない。やりたいからやる。本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんやない?」が証明されないんですよね。
その辺の描写が、本作には残念ながら見られない。
一番謎なのが、その希だったりする。彼女の加入動機がまったく不明で、入ってからもどのような心境にいるのかよく分からない(メンバーを集めた達成感と充足感は伝わって来たけど)。冒頭にも書いたけど、希はミューズに加わらず、引き続きプロデューサーのようなポジションにいてほしかった。
何故ここまで希を推すかというと、本来なら学園側の介入がないから。
ホノカ(変換めんどいのでカタカナで)達がまったく注目されていなかった物語の序盤は、学園の介入がないのも分かる。しかし、人気が出始めた中盤以降も全然関与してこないのはおかしい。学園の存亡が関わってるにしては、あまりに無関心すぎやしないか?
スクールアイドルという設定のワリには、学園側の不干渉はあまりに不自然。会長とのやり取りを視るに、学園長は生徒の自主性を尊重しているし。(でもコトリ曰く、廃校に関しては全然否定的じゃなくてむしろ肯定派っぽいらしいから謎)
結局、部に昇格しても練習場所は変わらないし、廃校を急いだ理由もよく分からかったのに廃校取りやめもかなり呆気なかったしと、学園側の意図が読めない。
対立するでもなく、協力するでもなく、ただ物語上存在してるだけってのは、なぁ……。文字通り背景になってちゃダメでしょ。
そのせいか、本作では【本編を全て視聴しても、スクールアイドルがなんなのか全然分からない】んです。
どうやら学校の協力のもと(あるいは指揮のもと)、学生独自で活動しているようなんだけど、それならミューズも当然、学園側とのやり取りがあっても不思議じゃないよね。しかし実際は上述のとおり。
となれば、ミューズの活動範囲はあくまでも学生ができる規模に収まるはず。
が、そんな認識をあっさりぶち壊してきたのが6話のPV映像です。
ミューズのメンバーが装飾された学校の内とか外で歌ったり踊ったりしてるんですが……これ、どうやって撮ったの?
そうじゃないだろ。世界観とかストーリーの流れぶち壊してまでこのPVを流す必要ってなんなの?
こういうのは普通に、CDの初回限定盤にでも付属させておけばいいもの。
アニメだからこそ、この撮影に至るまでの、学校への要請や、学校内でのビラ配り、協力して応援してくれるクラスメートといった【アイドル活動の為の活動】を描くべきだったように思えてならない。
結果として、部活モノの面がありながら、部活モノとしての魅力は乏しく、キャラの描写も中途半端な作品という印象を拭えない。
花陽とニコがいなかったら、間違いなく切ってたな……。