「有頂天家族(TVアニメ動画)」

総合得点
82.4
感想・評価
1682
棚に入れた
8084
ランキング
367
★★★★☆ 3.9 (1682)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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namnam さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:今観てる

「珈琲のしぶさがある苦み」とは少し違う。あえて例えるなら「和菓子が喉に通った時に感じる、ほのかなにがみ」かな。

そんな ”にがみ” を味わえる作品。


■世界観
先生と矢三郎と、弁天様。
この三角形の、引き合い寄せ合いの距離感がたまらない。

放たれる一句一句を噛み締めながら、背に映し出される美しい情景を肴にして酒を嗜む。
そんなことができる「噛めば噛むほど感慨深い作品」



■「わらい」の種類
ぽんぽこ?
四畳半?
三谷幸喜作品?
全く違う楽しみ方。

セリフまわしと背景は四畳半に少し似たところもあるが、
四畳半は「阿呆」らしさを「喜劇の中に出てくる、突発的なウケの笑い」に変えたのに対し、
本作品は「阿呆」らしさを「叙情詩の中にぽつりぽつりと出てくる、感慨深い笑い」として表現したところに違いがある。

なんて言うんだろう。
誰か愛する人の死を思い出して泣いてる時に、ふと蘇ってくるあの人のおっちょこちょいなところ。

今も涙は乾いていないのに、”クスっ” と笑みがこぼれてしまう。
そんなほんのり甘い、そして喉越しににがみを感じる。
まるで和菓子を含んだ頬に、さっき立てた抹茶のほろ苦さが入り込んでくるような。そんな感覚です。



■個人的想い
日本を離れ、イギリスに渡って早4年になります。
時間の合間を縫い、ヨーロッパ各国を筆頭に、アフリカ、アジアと素晴らしい都市を回ってきたけれど、やはり最後は日本、それも京都の町並みと空気感に落ち着く。


木屋町通りと鴨川の間。橋本町、材木町辺りだろうか。
幅1メートル程の裏道に連なる、甘美なオレンジ照明と木の香りが漏れてくる門構え。

矢二郎が「偽叡山電車」に化けて父とともに大暴れしていたのは、絵からするに花見小路周辺だろうか。
あの周辺は妙に気分が高まって、少しばかり阿呆なこともやってみたくなる。

そして〆は夜の鴨川の川辺を通りすぎる、ひんやりとした風で涼む。
時には矢三郎と弁天様が楽しんだように、夜中の瓦屋根の上を散歩するのもよい。

そんなことを思い出させてくれる、京都好きには堪らない一作。




■総評
もう一度見返したい作品ナンバー1。
毎回毎回、大切に見ています。
”しかるべき場所の、しかるべき時間で、日本酒グラス片手に一人でじっくり見たいな”
そんな気にさせてくれる、
僕の身体を浄化してくれ、カタルシスを味わえるお気に入りの作品です。



何かに対して ”深い” っていう言葉は極力使いたくないのだけれども、この作品は ”深いな” と感じました。
”幾重にも重なった余韻を楽しめる” という意味で。

投稿 : 2014/02/17
閲覧 : 390
サンキュー:

52

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