にゃっき♪ さんの感想・評価

4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

everybody needs somebody to love

主人公の霧島海人(きりしまかいと)と、宇宙から来たヒロインの貴月イチカ(たかつきいちか)の二人をメインにした恋愛物語です。

主人公や周りの仲間の恋愛関係が、ヒロインの登場により動き始める、典型的な淡い玉突き恋愛を描いた作品で、夏の思い出として仲間たちで映画制作を始めますが、それぞれ好きな相手との関係の進展を願う思惑があり、コメディ要素よりも、甘酸っぱい恋愛や片想いの連鎖が好みの方にお薦めです。

宇宙人といっても特殊能力を使うわけでもなく、Sci-Fiっぽいのは頭と終わりだけで、本筋とはあまり関係がないです。突然やって来たヒロインが、どうやって次の日には高校に編入出来たのかも、わざわざ高校に通って何がしたいのかの説明もありません。細かい事はスルーしても、突っ込みながらでも、どちらでもそれなりに楽しめると思いますが、いつか離ればなれになる事がヒロインにとって恋愛の進展を妨げる縛りになってはいても、どうしても必要な宇宙人設定ではなかったように感じました。

主人公には両親はおらず、姉が都合の良いことに長期出張でいなくなりヒロインと同居する、ありそうな展開ですが、登場するキャラたちの、テンプレ感のない設定はよかったです。個性豊かとは言えませんが、心理描写が細やかで、表情の変化なども丁寧に描かれていて、台詞の一言一言にちゃんと人間らしさを感じる事ができますので、どのキャラにでも感情移入できると思います。
というより、谷川柑菜(たにがわ かんな)、石垣哲朗(いしがきてつろう)、北原美桜(きたはらみお)の描かれ方が素晴らしく、メインの二人が霞んでしまったと言った方が良いでしょう。なかでも意外だったのは北原美桜で、最初のおとなしく控えめな性格が少しずつ積極的に変化していくのは見ていて微笑ましく、いちばん成長したキャラかもしれません。
恋愛群像劇としては10話がクライマックスでしょうか。最終２話は主人公やメインヒロインが好きになれないと、あまり楽しめないかもしれませんが、ラストは余韻に浸れる締め方だと感じました。監督やスタッフで、あまり大きな期待をしないで視聴する事をお薦めします。