退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルなし
本作は、萌え路線の日常アニメだ。それはどうあっても覆せない事実だけど、それだけを狙ったあざといだけのアニメってワケでもない。
まず一番に、スタッフ全員が本作のキャラ達を【可愛く描こう】としているのではなく【可愛いと思って描いてる】のが分かる。この時点で既に、僕の中で本作は好印象をもてるアニメだ。
メインキャラの恐ろしいまでの愛くるしさもさることながら(キャスト合いすぎ。起用した監督or音監さん、グッジョブです)、本作は様々な【違い】が楽しい作品だった。
基本的に忍は外国というものを勘違いしているし、アリスはアリスで忍を大和撫子と勘違いしている。綾は周りを勘違いさせがちで、カレンは文化の違いをむしろ楽しんでる節があり、また陽子は、違いを指摘せずにはいられない常識人だ。
他にも言い間違いや聞き間違い、果ては最終回のように【視聴者を勘違いさせる】など、枚挙に暇がない。
1話で幼少時のカレンが言っていた「言葉は通じなくても心は通じる」。そのあとの「ハロー」「コニ、チワー!」のやり取りから一転、【言葉は通じるのに心が通じていない】状態の数々がもどかしくも面白おかしく、愛おしい。
また、各キャラのポジションもしっかりしている。
これが普通の日常系アニメであれば、忍が天然ボケであり、陽子がシチュエーション作り兼ツッコミ役。時々自分でボケる感じ。んで、綾は基本的に陽子に対してだけツッコミ役で、ちょいちょい忍のボケにボケを被せてくるややこしいキャラ、になってくると思う。
んで、ここで面白いのが、日常系とは無縁な二人の少女が加わってる点。
一人じゃなくて二人、ここ重要。
アリスとカレンは二人とも生まれも育ちも海の向こうの、生粋のイギリス少女。(カレンはハーフだけど)
そんな二人が加われば当然、ただの日常もモザイク模様になるに決まってる。基本的にカルチャーショックを受けないアリスが忍にショックを受ける姿がおかしくて、ここにカレンが加われば、それはもう萌えと笑いで煌びやかな画に変わる。
忍&アリス、綾&陽子の鉄板コンビも、カレンを加えるだけで変化が生まれる。カレン万能すぎる。可愛いなぁほんと。
綾と言えば、忍ほどではないものの天然ボケな一面があり、また、百合ネタは必ず挙がってくるだろう。
僕は正直、百合ネタはそんなに好きじゃないんだけど、本作においては例外だ。
何故なら、綾の妄想がないから。
百合キャラってしばしシチュの妄想が描かれるんだけど、綾にはそれがなかった。
明らかな百合キャラでありながらその中身が一切映されていないので、単純に恥ずかしがってる様子だけ見られるというのは良いよね。可愛い部分だけが観れるんだもの。
なのに忍の妄想は10分近くも垂れ流すとか、スタッフの力量には頭が下がる。
しかも無駄に出来が良いっていうね。
異文化交流であり、異文化交友ならぬ異文化愛好アニメ。
アリスと忍みたいな人物ばかりだったら、外交もさぞ円滑かつ円満なんだろうなぁ……かなり頼りないけど。
※基本的に、日常系は序盤だと登場キャラが少なくて微妙な傾向にある中、この作品は1話でがっちりコッチの心を掴んでくれたのと、最終回のまさかの妄想ミュージカルにすっかり感心してしまったので、ストーリーにも特別に☆4つ。