退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルなし
ストーリーはよくある通常枠のアニメといった感じだが、何気にシリーズ構成が巧い。
個人的に気に入ったエピソードを挙げていくと、まず5話。まだ知り合って間もない二人が、お互いが何から何まで違うことを改めて実感しながらも、その後の幹部との戦いにて「命乞いしたほうを助けてやる」という甘言に対してどちらともなく拒否してばかりか、息を合せて協力して戦い、初めて幹部を倒すというもの。二人のキャラクター性が発揮した初めての回だ。
次に8話。ここでは渚とほのかが喧嘩をしてしまい、紆余曲折を経て互いをようやく友達と認めて下の名前で呼び合うようになる回なのだが、その完成度がなぁ……ぶっちゃけ、僕が本作お最後まで観る気になったのは、この回がキッカケだったりする。
なんといっても、仲直りのプロセスよ。なんというか、女の子女の子した仲直りじゃないんだよ。まるで男同士の友情模様。だからこそ感じることの出来る、少女アニメらしからぬ熱さに、僕はこの作品に光るものを見たんだ。
そして外せないのが、キリヤとのエピソード。逃れられない運命の中、ほのかの必死の呼びかけの末に自分の出来ることを行い、闇に消えていく姿はのちのほのかに大きな影響を残していく。なんせキリヤ君といったら、作中で唯一ほのかを正面きって叱りつけた人物なのだから。親友である渚ですら、八つ当たり気味に「お節介なのよ!」ぐらいしか言っていないのに。
42話では苛烈になっていく戦いの中で、自分達の大事なモノを考え直し、自分の気持ちを大事にしようと決める渚が、次の回では藤P先輩への想いに正面から向き合うゆえに激しく葛藤するし、最終決戦の激しさは年甲斐もなくはしゃいでしまう。随所で見られる本格的な格闘戦は、低予算という制限をものともしない。
しかし、構成が巧いといってもやはり4クールアニメ。普通なら途中からマンネリしてしまっていたかもしれない。そこを支えたのが、キャラの魅力だ。
本作はメインの渚とほのか。味方陣のメップルとミップル、ポルン。敵陣営には邪悪キングやその幹部が8人いる。そしてどのキャラも、実に個性的豊かに仕上がっているんだ。
なぎさとほのかは、当初こそ距離感を図りかねていた部分はあったものの、プリキュアとして選ばれたという共通点をキッカケに徐々に友情を深めていく。
なぎさは、ほのかを頼りにしている。自分とは違って芯のあるその心を、誰よりも強いものだと信頼しているのだ。
一方で、ほのかにとってなぎさという存在は、支えなのだ。なぎさから見て頼りになるその姿は、他でもないなぎさのお陰で成り立っている。
どちらが欠けても、二人は弱い。だからこそ、二人ならどこまででも強くなれるんだ。それを証明する42話は、感動を覚える程の出来。ぜひとも食わず嫌いせずに観てみて欲しい……。(なぎさの魅力は、普通なら目を逸らして耳を塞いでしまうような真実を、綺麗事に走らず開き直って泣きながらキレるところなんだよな)
んで、凄いのがきちんとアクションで魅せるだけの力が本作には備わっているところ。
毎話ある必殺技のバンクシーン。これが凄い。毎回盛り上がる。
これは音楽の功績が大きい。本作は全体的に外れの音楽がなく、この必殺技のシーンで流れるBGMは、それまでの流れを消し去って一時的に本作を特撮、あるいは熱血ヒーローアニメに変えてしまうほどの力強さがあるんだよな。おまけに、中盤にて、【プリキュア・マーブルスクリュー】から【プリキュア・レインボーストーム】にパワーアップするんだけど、観ただけでそのパワーアップっぷりがガッツリ伝わってくる。そこで「うおぉぉぉぉ!!」ってなるぐらいのカタルシスが起こるんだよ。
だってさ、マーブルな渦から、虹色の嵐に変わるわけですから。発射する時の腕の突出しと「ビシィッ!」というSEが憎い!
しかし、これだけ熱さを秘めた作品にしておきながら、妖精達の永眠という悲しい結末で締めくくられた点は、僕的にはマイナスポイントかな。
続編制作が決まっていたとはいえ、あんな暗い方向にもってこなくてもよかったのでは……と思わずにはいられない。悲しい結末はキリヤ君だけで充分なんだよ……。