てけ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
これ単体で見られます。たくさんの気づきをくれる作品!
押井守監督作品。約98分。
友引高校では、学園祭の準備が行われていた。
生徒たちは大忙しのてんやわんや。
主人公の「あたる」や「ラム」たちも、泊まり込みで作業をしていた。
しかし……。
「ん? このシーン、前にも見なかったっけ?」
違和感を抱いていくメンバーたち。
どたばたから、徐々にゆがんでいく世界。
そして、哲学的テーマにつながっていくストーリー展開です。
原作を読んでいるか読んでいないかで印象が変わると思います。
「うる星やつらでやる必要がない」
そんな批判がありえるからです。
ただ、私は原作未読なので、その立場で話をします。
ちなみにこの作品単体で見ても十分理解できますのでご安心ください。
作られたのは1984年。
しかし、できがとてもよくて、今でも十分見られる作品です。
見せ方が非常にうまいです。
だんだんとおかしくなっていく世界の雰囲気がたまりません。
間の取りかたにも特徴があります。
BGMを上手に使ったつかの間の休息です。
これが独特な空気感を作り出しています。
また、いたるところにさりげない伏線を仕込んでいるのもポイント。
{netabare}
・壊れた大時計 → 時間が進まないことを表す
・人形をのせたトラック → 「夢」を構成する部品
・「ダーリンはすぐあん中(戦車)隠れるし、どっか隠しちゃおか?」 → 戦車がプールに → ラムの思い通りになる世界という暗示
・折れた刀が直っている → 世界のループ
そのほか多数。
{/netabare}
本当に細かいところまで手が行きとどいています。
見るたびに新しい発見があります。
テーマはタイトルのとおり「夢」。
これが何を意味するかは、いくつもの解釈ができます。
・眠っている間に見るもの
・欲求への特定の気持ち
・大切にしている願望
そして、終盤では、哲学的な問いを投げかけてきます。
{netabare}
現実の定義とは何か。
今起こっていることは夢ではないと言い切れるのか。
夢の中では怖いものは怖いし、悲しいことは悲しいです。
読んで字のごとく「無我夢中」です。
現実となんら変わりはありません。
目を覚まして、初めて「夢だった」と認識するわけです。
そう考えれば、夢も現実も境目のないあいまいな存在であると言えるのではないか。
{/netabare}
一度メッセージが投げかけられれば、あっという間にテーマが展開されます。
細かい伏線、テーマの面白さ。
それを上手に展開、回収する構成力がお見事です。
「気づき」をくれる作品です。
それから……ラムちゃんがめっちゃかわいい(*´д`*)
さすが元祖萌えキャラと一部で言われるだけがありますね。
今でも色あせていませんです。
「みんな見るっちゃ!」