退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルなし
哲学とかテーマとかメッセージをどれだけ入れたって、結局のところ、ガンダムの真骨頂はそのアクションにあると思う。
ガンダムを好きな人というのは、ほとんどがニュータイプをあくまでも【超能力者】としてしか観ていない。それでいいとも思う。
本作で語られてるドラマは、別にニュータイプという設定がなくても描けるものなのだし、ニュータイプという【設定】は必要でも【意味】はそこまで必要に感じないんだ。アムロが自分の還る場所の大切さと、場所があることに感動して涙を流すシーンに、ニュータイプの要素はなくても構わない。
ニュータイプの起源だって、そもそも世界観のリアリティを崩さない程度に主役たちを活躍させる為の措置なのだし。ニュータイプという設定がなければ、アムロのような主人公のヒロイックな活躍はナンセンスだった。
ニュータイプという免罪符というか必要最低限の設定がなくては、アムロの活躍は本作においてどうしても説明つかないんだもの。
だって、1話目でMSに初めて乗ったにも関わらず、最初のMS戦でザクを二機仕留め(しかも片方はコクピットだけをビームサーベルで貫くという荒業)、次の回では初の宇宙戦でいきなりザクを狙撃するという戦果を挙げている。
あげく、やがてはドムを瞬く間に九機撃墜するほか、エースパイロットであるはずのシャア相手に余裕の立ち回りを魅せ(エルメスも交えた戦闘では、エルメスがいなければシャアは気づかないうちに殺されていた)、主人公として【白い悪魔】の二つ名に相応しい活躍を披露している。
同じニュータイプのシャリア・ブルでもてんで歯が立たず、ガンダムよりもハイスペックなジオングをもってしてようやくシャアが渡り合えるという、アムロ無双。これが気持ち良い。
普通のスーパーロボット作品ならなんてことはない戦果や活躍一つ一つでも、緻密で現実味のある世界観という縛りによって、そのインパクトとカタルシスは二倍、三倍と膨れ上がる。
本作はしっかりとしたドラマと、痛快なアクション。シンプルにこの二つに焦点を絞っているからこそ、何度観ても面白いと思わせる作品足りえているのだろうなぁ。
僕としては気に入ってはいるものの、ニュータイプに哲学の面とか、答えの出ない問答を織り交ぜる必要は、作品的にはなかったと思う。ただでさえ富野はキャラクターを通して喋るのが苦手なのだから(突発的なセリフは面白いけれど)、そこに人類の理想とか小難しい要素を入れて、ウケるとは思いにくい。
ちょっと欲張っちゃったんだろうなぁ……。
キャラドラマだけで終わらせるよりもなにかしらテーマとかメッセージ性を入れた方が良い気がしたんだろう。その気持ちはよく分かる。
分かるのだけど、明らかに中盤から雰囲気が変わってるんだよな。
パッと観て、今も楽しめる部分というのは少ない。正味、絵が綺麗なロボットアニメなんて今では珍しくないし、ガンダムSEEDや00、コードギアスのロボアクションに惹かれる人の方が遥かに多いでしょう。
確かに、ただ見るだけの面白さでいえば、本作はそれらに劣るかもしれない。
でも、「この動きってよく考えたらすごくないか?」「こんな戦い方をやるのか!」など、本作は【考えることで楽しめるアクション】という長所があり、それは今観ても色褪せない要素です。バンクは多いんですけどね;
観ろとは言わない。観るべきとも思わない。
でも、観て欲しい作品です。