かかのん さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
監督の最晩年の「映画」ですね。
昨日引退を宮崎監督が発表したので、このタイミングで。
こんなにも凄い「アニメート」をみると普通の深夜アニメが当分まとも見れそうもないですね。事実最近のアニメはレイアウトと演出にカット制限がモロに出ていて面白くないので。
主人公が三菱に入社して一日目が終わるまでの一連のシーケンスが凄かったなあ。
上司の紙のたわむアニメーションとか、本の抜き出して見てる下りとか溜息が出た!あれ普通に指示しないもんなあ…
そのまんまの感想ですが「走馬灯のような映画」でした。
主人公の幼い頃の下りを見ている時に、なぜか太宰治の「人間失格」での主人公の幼少期のシーンが何度もフラッシュバックしてきて、豊かさとか貧乏とかより「家庭環境と人間のビジョンって大事だよなあ」とか色々思う所がw
今作で最も力の入っている地震のシーンでは、阪神大震災の火災鎮火の翌日に、神戸新聞社近くの私の親戚宅が壊滅しているのを見て絶望した事を思い出して胸が痛くなった…
地震のシーンは駄目ですね、まだ体が反応します。
倒壊しかけの団地前や壊れた橋の上で、大きい余震が来た時に自衛隊の人が「止まるなー走れ!突っ切れ!」と言った絶叫を思い出してしまった。
あと飛行機の開発のシーンみてると「ガイナの青きウルとか、もう要らないんじゃね?」とか要らぬ妄想が上映中にグルグルと頭の中を回ってしまって苦笑しました。
デジタルで作る機体なんかでアニメーションとしても「風立ちぬ」に勝てないでしょ?とか?
私は3d寄りの人間なんですが色々頭抱えましたね~
とにかくしごく真っ当な映画でした、良かった!
ただ敢えて苦言を言ってしまうと映画の脚本としては、お粗末としか言い様がありませんね。特にイキナリ夢と現実を超えて話しが進む所とか、シベリア菓子のからドイツまでの繋がりが分かりづらいとか、色々あります…
が!この映画は純粋に凄いアニメーションと宮崎監督の自分の趣味と理想を映画にしたい!という欲求と葛藤を見に行くモノです。
映画として色々とお粗末ですが老名匠の凄みを見せられました。