ものぽらいざ さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 1.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
仕事と女
まずびっくりしたのは子供向け要素がまったくないこと。
宮崎駿作品の素晴らしさは、作品が二面性を持っていることにある。
これまでは、子供でも分かる大衆要素と自分の性癖を満足させる自分向けの要素で構成されている。
例えば、「千と千尋の神隠し」ではゆかいな妖怪たちとの冒険活劇の裏側に、幼女を遊郭で働かせると言うロリコン心満載の作品に仕上がっている。
ところが今回は子供向け要素を完璧に排除し、恋愛物語を持ち込んだ。そうなるとロリコン要素が出せなくなるため(それでも幼女は登場させたがw)、自分向け要素は仕事に対する姿勢を示した。
そう、今回は「仕事」と「女」なのである。
そしてそれを暗示するために欠かせないキーアイテムが『タバコ』なのである。
{netabare}
この物語は2つの見方で泣けます。
一つは、健気に付き添う結核持ちの妻の死で。
もう一つは、純粋な気持ちで仕事に全てを捧げつつも達成できなかった男の諦観で。
もちろん宮崎駿監督は後者で涙を流されたと思います。
なぜなら、風立ち”ぬ”だからです。
風が立った状態は、オープニングの夢です。
それと対比する描写として、風立ちぬの状態は、ゼロ戦の飛行映像です。
また、結核の妻が寝ている側で仕事を行いつつタバコを吸うシーンはもっとも印象的なシーンであり、この作品の根幹を担っています。
{/netabare}
久しぶりに楽しめた宮崎駿作品でした。
が、
この作品で残念なのは声優。
庵野秀明だけではなく、素人たちの出来が酷すぎる。
とてもお金を出すレベルではない。
いくら宣伝費を節約出来るからといって、有名人を使う戦略はヤメて頂きたい。