「ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵(アニメ映画)」

総合得点
66.8
感想・評価
229
棚に入れた
1080
ランキング
2712
★★★★☆ 3.9 (229)
物語
3.9
作画
4.0
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

yoh123 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

運命の始まり

三部作の嚆矢であり、斬り込み編とも言える
初っ端からハイクオリティの攻城戦から始まり、未だあどけなさの残る獣の様な眼をした主人公がやかんをぶった切ってドタマをかち割るまで、シーンが動と静を絡ませながら一気に進行する
その後見下ろす猛禽類の様な眼が映し出されOPへ突入
流れるのは平沢進のAria;バックに重低音を落とし込んだ壮大な曲調にミックスボイスでヒラサワ語が鳴り、BERSERKの世界映像と見事に混ざり合い広がる

此処まで精々10分にも満たないのだが相当な密度の濃さであり、此れは作品に終始一貫して維持される
三部作を通して、迫力あるBGMや重厚な世界設定と人物描写、アクション、暴力・流血・性描写、仕草や瞬きに至るまで、それぞれにテーマ性を明に暗に持たせ且つ巧みに緩急を付けつつ絡ませ、総体で波のうねりの様な調を編み上げてある
全く本当に大したものだと思う

BERSERKは、止揚を渇望する時代の寵児と常軌を逸し抗う者の二者を置き、前者に空を飛ばせ後者に地べたを這い蹲らせて描く物語で、主人公を後者に設定して描く物語だ
そして黄金時代編は両者が共にあった時代、文字通り輝かしき日々を描いたものだ
中世欧州風の戦場を主体に傭兵団が己の支配を切り取っていく話で、ダークファンタジー要素は背景に留め置きつつ世界の綻びと共に主人公達に牙を剥く様に描かれてある

剣に集い、剣で奪い、剣を折り、手に入れた挙句に切り落とし振り払い更なる高みを夢を追う、そんな宿敵の姿を主人公は最も間近で見させられ続ける
戦場で血を撒き散らして死ぬ仲間は勿論、駐屯地で横たわる怪我人の描写、不死者との戦いに至ってはメインの2人が殺されかかりさえするが、それを日常として様々を失いながら歩は止めない
主人公の方も一騎駆けをするシーンでは身体が当初より相当大きくなっており、年月が彼を強大に叩き上げた事がこの時点で既に窺えるが、両者の彼我を如実に表してあるとも言える

ガッツは冒頭で夢という言葉を唾棄するが、やがて宿敵により己との違いを個の持つ夢にこそ見せしめられる事になる
そして他人の夢を見上げているだけの自分に気付かされる
第一部のクライマックスであり、此れが第二部への渡しにもなっている
個人的には、この途中で、女千人長が唇をかみ空を睨む所は良いシーンだと思う

投稿 : 2013/08/31
閲覧 : 285
サンキュー:

3

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