おっさんばんび さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
男と女と幽霊の、ちょっと切ない恋愛三角関係
展開をちょっとだけにおわせるようなネタバレ(とまではいかない)表現を含んでいます。
あらすじ
花屋をやっている年上の女性・六花(CV大原さやか)に恋をし、その花屋にバイトとして入ることにした青年・葉月(cv中村悠一)。六花の部屋にあがると、そこには、病死したはずの六花の夫・篤(cv福山潤)の姿が。しかし篤は幽霊で、姿が見えるのは葉月だけだった。恋愛の邪魔をしてくる篤が要求してきたのは、葉月の身体を貸してもらうことだった・・・。
主要キャラは3人いる。
そのうち誰に感情移入するかでこの作品のとらえ方や感じ方は大いに異なってくると思う。
私は葉月に移入していたのだが、彼の純粋な恋心や恐怖心はこっちにも伝わってくるものがあった。
3人それぞれに移入してみて3回は楽しめる作品だなと思う。
また、そうした感情移入がしやすいのには、会話のテンポが自然でリアルで心地よく、すんなり入ってくるという理由があると感じる。
これは、台詞や音を先に録音し、あとから絵を描くというプレスコという手法によるものだろう。
いくつかのジブリアニメ作品のシーンでも用いられている手法である。
絵の動きと声が合っていて、違和感を感じるところが無くて気持ちよかった。
もちろん声優陣の演技もとても良かった。
それから、色彩美も素晴らしい。
花屋ということで、花の描写が多かったのだが、どれも綺麗で丁寧で美しい。
それから、童話の世界の描かれ方もとても美しかった。
場面が切り替わるごとに色彩美を感じることができ、手が抜かれていない細かな描写も素敵だった。
OPとEDも良かった。
OP:松下優也「SEE YOU」
OPの映像の中のストーリーは、本編とも繋がりがあった。
初見のときはそこまで気にならなかったところも、回を重ねるうちに深さを感じられるようになった。
ED:Aimer「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」
夏雪ランデブーによく合っている楽曲だと思う。
切ない三角関係を思わせる歌詞や音が心に響いてきた。
実は、葉月役の中村悠一さん目当てで本作品を鑑賞したのだが、魅力的だったのは彼だけではなく、本当に素敵な作品だった。
あっと驚くような展開も無ければ、ストーリーに大きな起伏があるわけでもなく、さらっとした流れで物語は進み、あっさりと終わる。
しかしそれが逆にこの作品の柔らかさや温かさ、それでいて切ない雰囲気をつくっているのだと思う。