STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
可愛いキャラに、骨太のストーリー
原作は未読。
女子戦国モノということで、事前ではB級感を楽しむ作品になるだろうと思っていたら、
とんでもない掘り出しものだった。
まず作画が素晴らしい。
特に合戦シーンなどは動きも良く、かつ槍や刀などの武具の重量感も感じさせるものになって
いる。
キャラクターデザインに関しては個々の好みがあるだろうが、個人的にはかなり好印象な
もので、今まであった戦国女子モノの中でも大本命が来たなって感じ。
いわゆる戦国女子モノは、とりあえずその作品では武将が女子だったというものが多いが、
この作品は性別問わず長子を相続させることで女子の武将が多発したという「姫武将」という
設定がなされており、この辺は興味深い。そのため男の武将も存在しており男女の武将が入り
交じっているのが印象的。
もっとも実際の歴史の性別を変えただけだと、おばさんがいっぱいになってしまうわけで、
年齢もかなりいじっているけど。年齢と言えば、やけにロリ率が高いのもこの作品の特徴。
女子に限らず、この手の戦国モノは武将が超人化してしまう作品も多いが、この作品の武将
キャラはあくまで人間としての強者という範囲内で留まっているのが好感が持てる。
あまりにも強いと、もはや戦いの行方は個人力次第になり、そうなるといわゆる軍勢という
ものの意味合いが弱くなってしまう感がある。
そうは言っても超人化した武将キャラが無双状態で暴れるような作品も、それはそれで痛快
だったりはするけど。
コメディテイストを多分に含み、それなりにファンサービス要素もあるが、基本的部分は
かなり骨太のストーリーで、若干無理に1クールに押し込めた感もあるが、最後まで飽き
させずに、きれいにまとめてくれた印象。
話の流れ自体は、基本的には史実をベースにしたもの。もっとも今では「信長公記」や
「太閤記」がかなり史実とは異なる物語性が強いことが明らかになっており、そういう意味では
史実と言うより、通説をベースにしたものと言った方がいいか。
通説をベースにといっても、先の姫武将を始め、実際の戦国時代とは異なることも多く、
我々が知っている戦国時代とは別のパラレルワールド。
その最たるものが姫巫女の存在かな。フィクションと言えども皇室を扱うのはデリケートな
問題があるので、この辺の改変は正解だったような。
あと信奈の理想とする世界観や、ルイス・フロイスによるキリスト教の思想などは明らかに
現代の倫理観が強く、この時代のそれとは異なるもの。個人的には現代的倫理観を歴史ものに
無理やり収めるのはあまり好きではないのだが、これもパラレルワールドなら許せるかなと。
現代から戦国時代にタイムスリップした相良良晴が戦死した木下藤吉郎に成り代わって活躍
していくが、この辺は戦国タイムスリップものの元祖?である「戦国自衛隊」の主人公、伊庭
義明が、織田信長の役割を担っていくことになる展開を思わせるものがある。
そういえば、この良晴が戦国時代にタイムスリップした経緯はまったく描かれて
いなかったが、個人的にはこれぐらい割り切っちゃってもいいかなって感じ。観る人によっては
消化不良感を抱きそうだけど。
良晴が知っている歴史知識を生かして先々の道を切り開いていくが、それによって自分が
知っている歴史と展開が異なってくる。こうなると本来自分が持っていたアドバンテージが弱く
なるわけだが、そこからは良晴自身の人間力で解決していくという展開が面白い。
一方の織田信奈は、良晴と出会った頃は性格や考え方などがいわゆる信長なのだが、良晴との
交流を通じて、次第に女の子女の子してくるところが面白い。これは変わったというより、
むしろ本来の性格が顔を出してきたように思える。
この信奈だが、戦国大名としての信奈、部下を家族のように思う信奈、良晴に恋する一人の
女子としての信奈といった面があり、それらの要素がぶつかるような展開になると、行動や
思考がその時その時でかなりぶれる。まあ、このぶれ方がいかにも多感な年頃の女子といった
感じで、結構好感が持てる。
他のキャラも可愛い女子が多く、キャラの立ち位置的には良晴のハーレムものになりそうな
ところだが、意外にも良晴と信奈の二人の関係に終始していた。
もっとも明智光秀が良晴を好きになったみたいで、今後は三角関係になってくるのかな?
それが元で本能寺の変とか?