退会済のユーザー さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
あのはな
酷評らしきもの
はじめに、この作品は売れる・売れないで作ったものではなく、やりたいことをやって作ったアニメらしい。そのため好みも人によって大きく変わってくるだろう。私はどちらかと言えば好きではないと思っている側に分類される。
曖昧な表現になってしまうのは気に入った部分とそうでない部分があるからだ。大きく分けて、気に入らなかった個所はアニメの骨格となるストーリーとその設定、気に入った個所はそれ以外の作画や音響、演出などアニメの肉付けとなる部分である。
気に入らなかった個所(ネタバレ有り)
{netabare}
まずストーリーについてだが、泣かせるアニメだと聞いて少し構えていた。私は普段から感動してぐっとくることはあっても泣くことはほぼ無く、泣きそうになるものといえば親子ものの感動物語くらいだ。なので、この作品でも泣くことは無かったが、そもそも私は泣きたいがためにそういった感動ものを見ているわけではないのでその点は特に問題は無い。問題なのは感動どころか失笑してしまったことだ。皆がそろって「泣いた」とか「感動した」という作品で苦笑いしたのはこれが初めてだ。
8話の途中まではよかった。そこまでは、じんたん以外の皆にとって“めんま”とはそこに居ることに確信が持てず、“幽霊”や“もしかしたら居るかもしれない”という絶妙な立ち位置に留まっていた。だがいきなり日記を通して筆談し、自ら存在を表明したことに思わず「は?( ゚Д゚)」と口に出してしまった。じんたんだけに視えるということが良かったのに台無しではないか。そこは直接筆談するのではなく、あくまでじんたんを通して「言葉」で意思の疎通をして欲しかった。
もうそこから最終回まで「どうしてこうなった」という思いを払拭できず、集中して視聴することは叶わなかった。最終回の皆が揃って泣きだすところは、かんぺでも用意していたのかと思うほどお粗末で苦笑い(;^ω^)。結局ストーリーそのもので感動することは全くなかった。
他の設定にも文句を言いたい。まず「あなる」というあだ名…。言われて恥ずかしいあだ名という設定自体はいいのだが、さすがに汚すぎる。物語が物語なので集中するためにも、もう少しまともな物にして欲しかった。それとゆきあつについてだが、まさかあんな変態さんだったとは…。こんなまじめな物語で、偽めんまの正体が変装したゆきあつだという嫌な予想が当たってしまったのが残念でならない。こういった妙なボケを入れるのなら思い切って、もう少しコメディ要素を強く出したほうがいいと思う。見終わった後の私の気持ちを表現するなら、冷えたコーラだと思って飲んだものが実はぬるい麦茶だった。という感じだろうか。
それともう一点。つることぽっぽをもう少し掘り下げて欲しかった。つるこは“パッチン”をつけていたが、あれはゆきあつが投げ捨てた物のようだ。あの汚れたパッチンを付けたり、同じ学校に行こうとするのだから、よほど彼が好きなんだろう。そして最終回では綺麗なパッチンを付けていた。あれがゆきあつが持っていたものをもらったのか、買ってもらったのか、はたまた、綺麗にした・してもらったのかまでは分からなかった。つるこに関してはそれくらいしか覚えていない。それと、残念ながらぽっぽの想いを私は受け取れなかった。いつもオマケみたいにくっついていただけなのが嫌だったんだろうか。だから積極的に行動した? いずれにせよこの二人をもう少し描いて欲しいと思った。
{/netabare}
気に入った個所(ネタバレ有り)
{netabare}
タイトルの意味
私は凝ったタイトルが大好きだ。その理由はアニメを見る前から「このタイトルはどういう意味なんだろう」とか「これはどういう物語なんだろう」と考えることが出来るからである。タイトルはいわばアニメの顔であり、これで第一印象が大きく変わってしまうほど大切なものだ。だから私も作品のレビューを書く際に、どんなタイトルなら興味を持ってもらえるだろうかとあれこれと考える。今回は「あのはな」にしてみた。理由は二つ、①製作者側が考えた本来の略名が「あの花」ではなく「あのはな」だから。②ひらがなは偉大なので、いろんな意味で取れるからである。
このアニメも視聴中“あの花”とは何なのかとずっと考えていた。最初に思いついたのは「めんま」だった。理由は至ってシンプル、メインヒロインだから。次に思いついたのは「花火」。たしか7話くらいから花火が絡んできた上、めんまの願いの一部でもあったため漠然とそう思った。最後に思いついたのは「青春」という抽象的なものだった。最後じんたんが「あの花」が~と言っているときにこれもただ漠然と考えただけのものだ。最終的に明確な答えは描写されなかった。私の答えも解釈の一角であり間違いではないと思う。だが、しっくり来ない上納得できなかったため、“あの花”の意味について調べてみた。
どうやら“あの花”とはワスレナグサ(勿忘草)のことらしい。花言葉は「私を忘れないで下さい」。そしてそれに返す意味で最終回の牛乳瓶にハルジオンが供えられている。こちらの花言葉は「追想の愛」。つまりタイトル『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の意味は“花に込められた想いに気付くことができないほど僕達はまだ子供だ”ということになるだろう。悔しい、すごく悔しい。私もどうやらまだ子供のようだ。自覚はしているが。疑問に思ったことが一つ、描写を見逃したのかもしれないが、あれは誰が供えたものなんだろう。じんたん達?気付いたってことなんだろうか。
その他
作画も音楽も特に文句なし、というより好きだ。はじめはもっと安っぽいアニメだと勝手に思っていた。申しわけない。しかししっかりと描き込まれた背景やOP・EDの出来具合、商売ではなくやりたいことをやるという冒険心。これらを踏まえると十分に見る価値のあるアニメだと思う。そして私にここまで書かせたのだからこの作品が何か持っていることは間違いない。{/netabare}
その秘められた可能性が何なのか僕はまだ知らない。