yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
猫物語(白)から恋物語まで&総評
猫物語(白)
このシリーズ初の暦以外の語りで進行する物語。原作を読んだ時から、語り部が違うということがどのようにアニメに影響するのか楽しみにしていたのだが、意外と違和感なくすんなりと馴染んでいた。
語り部が暦以外になるということは、初めて暦以外の登場人物の内面が明らかになるということを意味し、これは画期的なことである。そう、まさにこのことが私の羽川翼評を大幅にアップさせることになった。これまで一貫して委員長ちゃんとして存在していた羽川翼が、一人の女の子として躍動を始めるのである。自分自身として生きることを始めるのである。
これでは小説のレビューになってしまうので、ここからはアニメの視点から。
やはり、ひたぎとのガールズトーク&シャワーシーンは見どころの一つで、色気はあれどもエロ過ぎず、青少年にも安心して見せられる範疇に収まっていて、グッド。
なんといっても、 {netabare} ラストのところの告白シーン! {/netabare}
はっきり言ってこれを観る(聞く)ために観ていたようなもので、どうなるのかとてもとても期待していた。
私の感想としては、期待通りの出来であった。でも期待を超える出来ではなかった。完全に好みの問題だと思うが、 {netabare} 暦の返しは、あれ以外にないと思う。が、羽川の告白は、もっと、叫びに近いトーンで言って欲しかったな、 {/netabare}
と思わないでもない。
傾物語
八九寺真宵ファンの皆様すっかり騙されてしまいましたね。あの原作の表紙・OPを見せられれば、今回は八九寺真宵ヒロイン回と思ってしまうのが自然というものです。
もちろん八九寺真宵も出てくるし、ストーリー上のキイにもなってはいますが、実質、 {netabare} 忍野忍ヒロイン回 {/netabare}
です。
忍のいろんな服装をみれたり、大人になった八九寺がでてきたり、それなりに見どころもある。ハートアンダーブレードが本編に初めて出てきたのも、見逃せないところである。 が、極論してしまうと、物語シリーズの中で存在しなくても物語全体に影響のない物語が「傾物語」です。他の物語はそれぞれに関連性があり、どの物語が欠けてもおかしなことになってしまいますが、「傾物語」だけは違います。そもそもパラレルワールドで起こったことなので、現実世界に全く影響を及ぼさないのは当然のことですし、暦と忍しか関わっていないので人間関係にも影響を及ぼすことは無い。まあ、今後サードシーズンにおいて、この経験が暦と忍にどんな影響として描かれるかはわかりませんが。
そんなわけで、この作品は物語シリーズにおけるエキストラステージみたいなものととらえるべきなのかもしれません。
囮物語
おそらくセカンドシーズンのクライマックスとなる物語。特に、凄惨さにおいて。 {netabare} 暦と忍がそろって手も足も出ないほどやられたのは、 {/netabare}これが最初でしょう。今後もあるのかな?
待ちに待った千石撫子ヒロイン回。しかも語りまで撫子。えへ。でも、わかっていたこととはいえ、撫子の語りだと話が円滑に進んでいる気がしない、というか、なんだかまどろっこしい。なんて言いながら楽しんでましたが。
今回の見所は3つ。前髪のない撫子(月火に切られた)。個人的には、ある方が好み。そして、蛇髪の撫子(蛇神になった)。意外と似合ってた。なんといっても、 {netabare} 啖呵を切る撫子!担任の先生とクラスメートに向かってクチナワさん口調で切れまくる撫子!聞いてて気持ちよかった。 {/netabare}いいぞ、花澤香菜。
全体的な印象としては、想像(想定)通りの出来。十分に満足できる内容・クオリティではある。が、お得感というか、「あっ、おまけがついてきた!」的なものを感じられなかった。常連のラーメン屋でいつも1枚多く入っているチャーシューが今日に限って入ってなくて、何となくがっかり、と言うと分かってもらえますか?
鬼物語
実質的には前半は忍野忍、後半は {netabare}八九寺真宵{/netabare}がヒロインの物語。
原作を読んでいる身として気になっていたのは、 「くらやみ」の表現、一人目の眷属の描写、 {netabare}八九寺成仏のシーン{/netabare}の3つである。「くらやみ」に関しては、予想の範囲内。まあ、選択肢は限られているでしょうから。 {netabare}おもし蟹の表現と同手法 {/netabare}がとられている。 一人目の眷属は、絵としては表現されなかった。この作品の性格からして当然といえる。
そして最大の関心事は{netabare}八九寺真宵の成仏シーン {/netabare}である。多少暦の口数が多すぎてクドイところもなかったわけではないが、綺麗にまとまっていたと思う。寂しいけれども哀しいわけではない、そして何よりも{netabare}暦への感謝の気持ちを込めた唇へのキス。 {/netabare}
これで、もう {netabare}「かみまみた」 {/netabare}聞けないのか~。なんだか物語シリーズの終わりの始まりを感じてしまった。
恋物語
あまりの事態にフライングしてしまいました。なんすか!?あのOP!!最高すぎます。 {netabare}ひたぎと貝木のデュエットなんて!{/netabare}私、浅学でちょっとわからなかったのですが、あれ何かのパロディーなんですよね?わかる人いたらぜひ教えてほしいです!
原作読んでいるのでもちろん知っていましたが、 {netabare}貝木の語り、{/netabare}良いですね。なんというか、貝木が出ていると物語に奥行きが出るように感じられます。これは、メメにも言えます。おそらく、大人のキャラいることによる効果なのではないでしょうか。
そして、ひたぎ♡。ひたぎがいるだけで画面が華やいで見えます。ひたぎの声を聴くだけでウキウキします。自分で思っていた以上にひたぎに惚れ込んでいたようです。化物語のレビューで書いたような気がしますが、訂正します。今や完全にひたぎのワントップです。私自身の猫物語(白)以外の評価が低い理由の一つがわかりました。ひたぎが出ていないからです。
後半はひたぎの出番がなくなってしまい、その点は残念でしたが、それを補って余りある貝木の大活躍がありました。いやー、貝木最高すぎます!最終話なんか、 {netabare} 肉体的にはほとんどやられっぱなしにもかかわらず、ひたぎの依頼以上の成果を挙げてしまうところ(臥煙先輩の期待通り?) {/netabare}なんてメッチャかっこいいです。大人だな~、あんな大人になりたいな~(もう大人だけど)。暦のあの顔! {netabare} ある種の敗北感ともとれるような表情を浮かべていやがった。 {/netabare}ざまみろ。
まあ、とにかく、恋物語には大満足です。
総評
{netabare} はっきり言って、恋物語がなければかなり辛い評価となっていたでしょう。でも、それはアニメに責任を負わせるべきではないと考えます。なぜなら、そもそもの原作に難があるからです。セカンドシーズンの各物語(花物語は未アニメ化のため除外)は、猫物語(白)と恋物語を除いて内容が薄すぎます。特に傾物語と鬼物語は雑談が多すぎて(確かにこれもこの作品群の魅力ではあるが)、アニメ化には厳しい。延々と続く雑談をすべてアニメ化する勇気!はもはや蛮勇としかならず、話の骨格に焦点を絞ったアニメ化になるのはやむを得まい。そして、そうしてしまうと、なんだか薄ーい内容の作品となってしまうのである。それと、やはり「暦による語り」という形式に対する飽き、慣れというのもある。そういう意味でも、猫(白)と恋は新鮮味があった。
うん、まあ、やはり恋物語に尽きますね。終わりよければ全てよし。恋物語のおかげでセカンドシーズンにポジティブな印象を持って観終わることが出来ました。ここまで観たんだから、最後まで付き合うよ!ファイナルシーズンもアニメ化お願いしまーす。 {/netabare}