ほるん吹き さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
みほが見つけた「わたしの」戦車道
ガルパンの魅力と言えば
美少女×戦車というギャップのある組み合わせ
リアルな戦車の描写と戦闘シーン
王道的ストーリー展開
ご当地アニメ
戦車道という架空の武道による、部活動(のようなもの)で全国制覇を目指す王道的な青春ストーリーですが、
彼女らは「共に汗と涙を流しながら、時にぶつかり合い、時に励まし合い、目標に向かって真っ直ぐ、みんなで一緒に血のにじむような練習をして頑張ってきた」…などと言えるほどの努力を重ねてきたわけではありません。
戦車道における才能を持った者も主人公のみほ以外にはおらず、興味本位で始めたという素人ばかりの寄せ集めな集団です。
大洗女子には、他の作品にあるような主役と比べて努力も才能も足りないけれど、みんなが戦車道を真剣に取り組み、それぞれが自分の「らしさ」を大事にし、あくまで楽しみながら出来ることをただ全力でこなしていきます。
幾つもの個性が活き、自由にのびのびと戦車道を楽しむ様子には、新しい青春ストーリーの方向性を感じました。
強豪校はいずれも得意な戦術や統一性のある戦車群を揃えていて、チームとしてのはっきりしたカラーを持っています。
それに反し、大洗女子は個性も戦車の種類もバラバラで、これといった特色を持ってはいません。
ですが、相手や状況によって戦術を変えるみほのやり方にとっては、よく言えば柔軟性に長けたとも言える大洗女子戦車道チームは最適だったのかもしれません。
大洗女子は、生徒会チーム、風紀委員チーム、バレーチーム、歴女チーム、自動車部チーム、ネトゲチームなど、戦車一台につき同じ趣味を持った人や同じ組織の人たちによるチームとなっており、それぞれが個性的な存在感を放っています。
特殊な個性の人って、特に大人数の集団の中では浮いてしまいそうですが、大洗女子の場合その特殊な個性がグループとして存在しているので活きるのだと思います。
例えば熱血バレー部の人が一人だけで「ファイトーー!」とか言っていても空回りしそうですし、歴女の人が一人歴史ネタを言っていても、他の誰にも理解されることはないでしょう。
主人公チームに所属する秋山優花里もまたその一人。今まではその過度な戦車オタっぷりが一般人には理解されず、友達も作れずに孤立していました。
みほや戦車道に興味を持った人たちに出会い、彼女は自分に自信を持っていきます。
同じ趣味や個性を持った者同士で気兼ねなくその力を発揮できるからこそ、それぞれの個性が埋もれることなく、またチームとしての団結力にも繋がっているのだと思います。
そのため、自分のチーム以外の人との関係はそれぞれどうなのかというと、交流を深めようとする描写は少なめで、また同時にぶつかりあうこともありません。
無理に相手に合わせる必要はないし、相手を否定することもないということ。
何とも不思議なバランスで成り立っています。
最終的に30人以上にもなる大洗女子戦車道チーム。
互いに尊重し合え、そして共存関係をしっかりと築けています。
大洗女子戦車道チームにとって「仲間」とは、今までのアニメにあったような意味合いとはまた違うのかもしれません。