らしたー さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
新感覚。垂れ流し系。
まず画のクオリティは非常に高いと思う。
デフォルメの効いた可愛らしさというやつをよくわかっているなあと。ちょっとした仕草や表情がすごくセンス良い。ツボを押さえている。
さて、演劇でもそうなのだけれど、キャストが極端に少ないものは肌感覚としてすごく時間経過が長く感じるもの。二人芝居の舞台をご覧になったことがあるのであれば、まさにあの感覚を思い出していただければ。理由は簡単で、観る側の頭がリフレッシュされるタイミングがないから。
でもってこの作品、前景は「やすなとソーニャ」でほぼ固定され、ときどきニンジャの子が加わる程度。背景・第三者はいっさいの主張性を持たせてもらっておらず、多くの場面において、事実上背景OFFで進行している印象に仕上がっている。
これってなんだろうと考えると、結局、「ショートアニメを30分流してる」だけじゃないかというね。
そうなると単純な話、キャラを好きにならないときついんじゃないでしょうか。なんか、根本にあるのはただそれだけな気がする。
だもんでますます強烈な垂れ流し感を覚えるわけで。
が。
その垂れ流し感がキモなんじゃないかとも思ってて。
Eテレの高クオリティの人形劇を30分垂れ流されてもほとんどの人間は途中で飽きてしまうだろうけれど、そこに確実にある「贅沢さ」ってやつはイヤでも感じざるを得ない。たとえ面白いと感じるのが最初の15分だけであっても。
あるいは、お気に入りの歌のサビが延々と頭の中でリフレインしてるあの感覚。さすがに飽きるが、どんなに飽きても、それはイコール嫌いになる、というわけではない。
キルミーがもしそういう感触、「毎回最初の15分は新鮮で面白い」を目指して、あるいは覚悟して、あえて区切りの薄い構成で30分枠を乗り切ろうと企図したのであれば、どえらく新境地にチャレンジしてるよなあ、と。
すごく新しい。というかリスクとりすぎ。
これ、そもそもが、作りがうざいアニメの中に、さらにウザキャラのやすながいるんだもん。なんかもういろんな感覚が麻痺してきて、だんだんこれはアリなんじゃないかと思えてきてしまう。
キルミーベイベーおそるべし。
アニメの内容や世界観もさることながら、それ以前のコンテンツとしての手触りまで含めたところの、どこかしら調子をはずしてる感じが、ある種のもの好きたちに響くのかもしれない。
でもこれを真似したら絶対アカン。