るぅるぅ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
観るのが怖い方へ~参考になれば幸い。
全11話
オリジナルアニメ
ジャンル:青春群青劇
引きこもり生活を送っている主人公・じんたんの前に現れためんまによって幼き日の思い出を辿って行く。懐かしい想いに浸りつつ過去には戻れない彼女彼等の行く末にある、あの花とは何か・・・。
泣ける作品として代表格に入る本作を観ましたが、泣けなかったらと・・・・観るのが怖い作品ですね。放送時期から2年越しで観たわけですが、素直に泣けたか? と問われると、少し涙腺が緩んだ程度だった。それも既視感が多くアンソロジーな感動の詰め合わせに感じた。この作品以前に「あの夏で待っている」、「夏雪ランデブー」を視聴していた為に私的ながら抑揚のないストーリー展開になり、これ多分、泣けそうにないな・・・・と嫌な予感が的中したが、あるシーンで少し感動できた。
「あの夏」といい「あの花」とどちらもノスタルジックな気持ちにさせる。これが狙いだとわかるだけに泣ける要素を詰め込み、泣かせる為に作ったとさえ感じるストーリーライン。
想像の範疇を超えず思い出に浸らす演出が過剰すぎる所為なのかもしれない。
先入観を持たずに観ると泣てしまう作品だと感じるが迷いある方は難しいと想う。
誰の目線で作品を見るべきわからないのであれば、めんま目線で観ると受け入れやすいと感じる。
もしくは作風の全体を感じとる気持ちで温かく見届けると良いのかもしれない。
心情描写・行動・音楽と感情を昂ぶらせる演出が多いが、感じるままに素直に受け止めて欲しい作品である。
視聴された方向け【少し辛口成分有、ファンは観ない方が良いかもしれない】
{netabare} メンマの存在について幽霊という設定。これは「夏雪」の時に感じた、死者の美化=どう足掻いても勝てない存在 と分かり良し悪しに関わらず仁太達を導く役割を持たせ触発させる。
一応、主人公である仁太の目線で描かれているわけだが、母・メンマに捕らわれ高校受験の失敗に拍車をかけ引きこもり生活へ没入。過酷な環境ゆえ仕方ないのかもしれないが、父親の寛大さに甘え中学生活を過ごし高校1年の夏の終わり、死んだはずのメンマが見えることから始まる。
この空白期間4.5年に変わる兆しがなかったのか疑問に感じた。めんまを除く彼女彼等は少なからず、あの夏までは親友と呼べる程に仲良かった関係で仁太を慕っていたのだから励ますといった行動演出を描いて欲しかった所ではある。コイツそこまで過去に捕らわれて生きている という過去の根底がやや薄い。それも仁太以外は罪悪感に捕らわれ、そこまで余裕が無かったのかもしれないと解釈できるが、仁太自身はユキアツ程めんまに捕らわれていない心情が感情移入しにくい部分ではあった。それも仁太とめんまの内面的な性格を酷似させている故にできないと後にわかった。俺が~俺の方が~俺だけが~という我を誇示をさせる性格であると、ユキアツとの愛情比べだけの陳腐な男に成り下がる。 さらにアナルの恋心を抱く憧れの人物像として魅力に欠ける。
「自分のことより誰かの為に」とめんまと同じく仁太をアレンジした為に我の強い主人公にできなかったのだろう。優しく、やる時はやる男、 かっけぇーんすよ。じんたんは。いつまでも皆のリーダーとしての風貌を持たせていたが引きこもりとのギャップが強すぎる(笑)
相関図にすると
ツルコ→好意→ユキアツ→仁太に嫉妬・メンマに好意→【仁太⇔メンマ】← 仁太に好意・メンマに嫉妬←アナル←嫉妬←ツルコ
ポッポ→友情→仁太
メンマ母の未練→仁太達によって寂しさを共有し固まる家族の絆。
仁太とめんまは、皆と仲良く楽しく過ごせることを一番に考えていた。だが、あの夏の日、仁太が「好き」とは言葉に出来ないもどかしさの裏返しと誰もが見てもわかる気持ち。だけど、その真意に気づいていたのはメンマだけに悲しい死へとつながる。無邪気で純粋無垢なメンマだけが、昔から仁太を含め皆の気持ちを理解していた。自分へ向けられた仁太の言葉では泣かなかった。もし、あの日、あのまま仁太が逃げずに居たらメンマは「違うでしょ、じんたん!」と照れながらに答える仁太の顔があったのだろう。それだけに10話あの日の再現でメンマの泣く姿は嬉し泣きとなり心に響いた。少しのすれ違いが悲劇となり、あの日に捕らわれることになった。
青春群青劇として部分的な性格・個性を散りばめ誰かしら感情移入するほど泣けてくるのだと想う。あの頃の思い出、憧れといった共感を訴える構成から全体的にキャラを使い心情が昂ぶりつい泣いてしまう。だが、私は感情移入できなかった所を省みると見届けるような目線で観ていたからだと感じる。良く出来た心情描写ではあるとは想うが、一人一人のキャラの核となる設定だけ浮き彫りにさせている為に泣かせるキャラ立ちとヒシヒシと伝わってくる・・・私が過剰なのかもしれないが。
うがった見方をしているとは想うが、感動作品の集大成のように見えてしまった。
観るタイミングが悪かったのが一番の原因だと想う(苦笑)
物語のテーマとなるベースは、死者の未練と人の罪悪感を重ね合わせ嫉妬心の恋心・家族愛を織り交ぜ全体的にシリアス重視にしているが、メンマの健気な性格もあってコミカルに描かれていた。そこには一度失った絆を再び築きあげ、変わってしまった関係から新たな友情を噛み締めメンマ同様に過去との決別が本作の魅力だと感じた。強いて言うならポッポの回想を少し入れて欲しかった。仁太達に救われ仲間となった幼き思い出・不慮の事故を目にしてトラウマとして焼きついてしまった心情と描かれてはいるが、全体的にオブラートに包み繊細な気持ちが伝わって来るだけに何が切っ掛けでメンマが亡くなったのか疑問が残る。
また、群青劇として視点で観るとユキアツが主人公となり歪な感情・行動がツルコ・アナルを良い意味でたきつけていたとわかる。さらに仁太の引きこもり脱却の成長としても描かれるが、その根底にはメンマの絶対的な存在が大きくキャラが動かされている。
それが本作の良し悪しとなる部分であると私的ながら感じた。
それだけに彼女彼等のメンマに対する想いも充分に伝わって来た。
見えないはずのメンマを感じることで仲間との絆を深める演出が多く、食事・言葉に想い浮かばせる過去の回想・牛乳瓶の花・挿入歌・個々のエピソードに加え手紙と掛けたカクレンボなど心に伝わるが心に響くかどうかだと想う。 {/netabare}