けみかけ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
けみかけ的2011年夏期アニメのキーワード【お仕事アニメ】
今回、オイラ的に面白かったアニメの共通項に「お仕事を題材にしたアニメ」が多かったので、そこに注目したいです
「仕事をすること」そのものや「仕事の中での自分」と向き合うことを、それぞれの作品が別のアプローチで扱っているのが大変興味深かったですね
まず「うさぎドロップ」
ある程度社会的地位を築いた30歳サラリーマンがある日突然子育てを始めることになり、子供が小さいこともあってそれまでの仕事に対する価値観が一気に上書きされたり、物事の優先順位が入れ替わったりしていきます
仕事一筋だった生活が、子供と一緒にいることや先輩パパママからのアドバイスでドンドンと一新されていく価値観と開けていく世界観
「積み上げてきたキャリアより大切なもの」が出来上がっていく様に、一喜一憂しながらの葛藤がなかなかに面白かったですね
次に「TIGER&BUNNY」
これが「うさドロ」とは全く逆の捉え方で面白い
「ヒーロー」という多忙な職のためにプライベートではだらしないオッサン主人公
愛娘のことも放置気味で、正直序盤はダメ親父の典型
ところが最盛期を過ぎた自分を自覚するうちに引退なんかも考え出したり、憧れていたヒーロー世界の裏で起きていた現実を目の当たりにしたりして、プライベートを犠牲にしてまで成り立ててきた自らの職業に未練や後悔を抱きながら苦悩します
結果的には「自分の職に誇りを持って働くお父さんカコイイよ」
というお話になり、面白かったですね
ちょっとフィクションじみた描き方でしたが、男性としてはやっぱり妻子に頼られる存在でありたいし仕事へのプライドは忘れたくない、という願望の具現化が魅力的でした
さて、前振りが長くなりましたが先述の2作は職が板に付いたアラサーor中年という盛年世代のお話で、色々と積み重ねてきたモノがある人が主人公でした
ここでさらに、我々若者により近い感性の描き方をした作品が2011年夏期には出てきます
それが「花咲くいろは」となります
「花いろ」の主人公は女子高校生です
その後の人生全部を捧ぐ様な職を決める、という決断をするには世間一般の目から見れば少し早い
旅館業務なんて、女将とか下手すりゃ一生を賭けてやるような仕事なのだけど、主人公の御花ちゃんは成り行きで巻き込まれたとはいえ日々の仕事をこなしていく内に多くの人がそうであるよう、旅館業務への(喜翠荘への)誇りと愛着が湧いていくことを自覚し始める
或いはみんちのように、若くして夢を見定め、それに向かってまっすぐ進んでいくような若者
或いはなこちのように、自らの居心地の良い場所であり続けてほしいという思いから仕事に励む若者
そんな若者達の仕事への価値観が三者三様で描かれていくのがとても面白かったし、オイラには共感できる部分も沢山ありました
或いは過去のオイラが経験した挫折や苦悩なんかを通って御花ちゃん達が成長していく様もノスタルジーに浸れたりで楽しめました
そしてなにより、彼女達の庶民感覚が良い味を出した作品だと感じましたね
特に主人公の御花ちゃんが多才であるということを除けば、彼女達はスーパーヒロインではなく普段はやっぱり普通の女子高生なわけで、そんな庶民が夢や目標に向かって日々の仕事に励む様が思わず応援したくなる気持ち
「共感」や或いは「癒し」を生んでいるんだと思います
御花ちゃんマジ大天使w
(御花ちゃんの多才ぶりに関しても、それ生かしきれない感があるいわゆる「器用貧乏」だと解釈できるので、主役を際立たせるための最低限の素材として、問題にはならないと思うし)
同時にドラマを盛り上げる「恋愛」面の要素にも「仕事」が絡んでくるのがこの作品の見所
特に具体例としては19~22話でみんちが「仕事と恋愛事情を混同するな」と言うお話がありましたが、これはそのまんまみんち自身に降りかかってしまう自虐的な言葉であると同時に、オイラ自身も全く持ってその言葉自体には同意したいという気持ちでいっぱいでした
公私混同することは基本ロクなことになりませんし、正直そんなのは仕事をなめてかかっているだけだと思います
それこそフィクションじみてますw
恋愛のお話は並行する、だが恋愛と仕事を混同した時点でなにもかも終了
22話でのみんちと徹さんのやり取りは本当に大好きでしたねー^^
てかみんちが最高ですb
ってなわけでー!オイラの地域では日曜の夜10時に放送されていたこともあり、「裏サザエさん」的に家族で楽しむことの出来る作品でした
これから夢を追わんとする、御花ちゃん達と同世代の人には希望を見せてくれる
僕らの世代には癒し、そこからの活力を与えてくれる
そんな作品じゃないかな、と感じました
余談ですが、この逆例として正直自分から「ニート宣言」するようなキャラクターにはちょっと退きますわ^^;