「ロミオ×ジュリエット(TVアニメ動画)」

総合得点
67.1
感想・評価
317
棚に入れた
1841
ランキング
2625
★★★★☆ 3.8 (317)
物語
3.9
作画
3.7
声優
3.7
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

とすかねり さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

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*ストーリー
シェイクスピア作、『ロミオとジュリエット』を現代的に、またアニメ的にアレンジしたのが本作。ただしアレンジが強く、シェイクスピア原作というべきかどうかは、議論の余地があるとは思います。
ただ、ストーリーとしてはアレンジながらも完成された重厚さがあり、また、原典である『ロミオとジュリエット』が比較的卑俗的、あるいは大衆的娯楽性が強かったのに対し、本作は如何にもアニメらしいピュアネスがあって、個人的にはプロットそのものはアニメの方が好きです。
原作を知っている方は、好みが分かれそうな感じがしますが、原作を知らない方なら、間違いなく楽しめる作品と言えます。
{netabare}
本作がアレンジ性の強い作品とされる理由は多々ありますが、第一に、世界観が空中浮遊大陸ネオ・ヴェローナである点が大きいかと思います。
この空中浮遊大陸は、大樹エスカラスによって浮遊するわけですが、このエスカラスは、もちろん原作のPrince of Veronaエスカラスから来ています。個人の想いだけではままならない中世封建的身分関係を、上位存在の大樹と近似させる点は、個人的にはかなり巧い表現だったと思います。
一方で、原作では争うモンタギュー家とキャピュレット家は比較的対等だったと思うのですが、本作では、モンタギュー家が大公として絶対的な地位に立ち、キャピュレット家は潜伏して復興を待つ形となっています。このため、ジュリエットも比較的ステロタイプな女性だった原典から離れ、奔放で行動的です。その最たるがモンタギュー家の舞踏会に参加するシーンでしょう。これは原典では、ロミオがキャピュレット家の舞踏会に忍び込むものとなっています。
その他様々な要素が原作との差別化を成し得ています。その是非は視聴して確認してください。
{/netabare}
惜しむらくは最後にかけての展開が怒涛すぎて、説明不足感が否めない。
ということで、☆4.5

*作画
中世的世界観と、ファンタジー的な幻想観が作中の背景に良く描かれています。特に、両者の家紋から、バラとアイリスは本作でも重要な表現の位置にあり、花畑の表現は幻想的で良いです。
☆4

*声優
声優陣は一流のプレイヤーぞろいです。所謂声質立ち的な人は少なく、その甲斐あってか演技派の実力がいかんなく発揮され、キャラクターより声優が目立つようなことが少ないのが◎
キャラクターと世界観のバランスを壊すことなく演じきった役者各位に素直に脱帽です。
☆5

*音楽
OPがすごくいいです。『祈り〜You Raise Me Up』ですが、元々は、北欧のアーティストが2002年に発表した作品で、高垣彩陽がアルバムでカバーしたことでも良く知られていますね。
世界観とマッチしながら、心に抉り込むように響く歌詞に涙腺崩壊された方も多いのでは?
☆4.5

*キャラ
原作に比べ、非常にキャラクターの性格に変化があります。
{netabare}
ここで特筆しておきたいのは、ロミオ、ジュリエットの変化です。
原作では「愛」みたいなものに殉じる二人がテーマでしたが、「愛」と「運命」との間で揺れる二人がアニメ版では印象的です。
特に、自由奔放で如何にもボンボンみたいな原作ロミオより、無垢で無知なアニメ版ロミオの方が好感が持てます。
{/netabare}
☆4.5

*総括
やっぱり原典とは大きく異なりますが、それでも観る価値のあるすばらしい作品だと思います。
{netabare}
特筆すべきは、エンディングでしょう。原作では、「家を捨てること=命を捨てること」であり、それ故に愛に殉じた二人ですが、アニメ版では、愛や運命に翻弄される二人(特にジュリエット)が、最後にはネオ・ヴェローナに住む人たちの為に、そして愛の為に死するという折り合いの付け方は、非常に泣けるシーンでもあります。
{/netabare}
「本当に、実らぬ恋 ・・・なのですか?」
答えはどこにあるのでしょう?
是非見て確かめてください。

投稿 : 2013/08/21
閲覧 : 263
サンキュー:

11

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