ともか さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
趣味を理解してくれる人の大切さを感じます。
ラノベ原作(未読)、 1クール(全12話+ネット配信4話)、 2010年秋放送。
略称は「俺妹(おれいも)」または「俺の妹」。
この作品は私自身、あにこれ登録前に1周観たきりです。
最近、「TRUE ROUTE スペシャル版」を観たことで思い出したので、この機会に書きます。
主人公である高校2年生の京介(きょうすけ)は、
仲の良くない中学2年生の妹・桐乃(きりの)が「隠れオタク」であることを偶然知ってしまう。
その後、京介は桐乃から隠していた趣味を明かされ、理解した上で友達探し等 色々手伝うことに。
身勝手すぎる桐乃に振り回されつつ、京介は四苦八苦しながらも決してメゲずに、
兄妹が打ち解けていく様子を描き、取り巻きとも良い関係を築いていく物語。
ストーリーは時間軸に沿って話が進んでいます。
シーンを作っているだけで物語性の無い作品とは異なり、
この作品は話を進めていく中で上手くシーンを入れることができていて、
この類の作品としては物語を高く評価できると思いました。
妹・桐乃(きりの)や、そのオタク仲間の設定が現実離れしていますが、
エ○ゲー好きをはじめ、あえて極端な設定を入れることで視聴者を引き付けようとする、
制作側の意図ではないでしょうか。
それに対してツッコミを入れるようでは、この作品を楽しむのが難しくなる気がします。
設定は割り切った上で、作中の様々なエピソードやネタに共感できれば、
けっこう楽しめるのではないかと思います。
私は、桐乃たちの あるあるネタは共感できる部分があったり、
さすがにそれは…(苦笑)となる部分もあったりして、観ていて面白かったです。
アニメをはじめとする2次元系の文化に全く興味のない方には、
分かりづらいネタが多いかもしれませんが、
このサイトに来ているあなたは、少なからず興味があることでしょう。
{netabare}「エ○ゲー好きなところも全部含めて私。ひとつでも取ってしまえば私が私ではなくなる。」{/netabare}
作中でこんな感じの発言がありましたが(正確ではないです)、
視聴者の私も、まさにその通りだと思いました。
中盤以降の基本パターンは、
1つのエピソードごとに、長くなりすぎない適度なシリアスの後、
兄の必死の努力でみんなの悩みが解消して笑顔になる、の繰り返し。
それでも毎回違うネタを出してくるから、テンポが損なわれることもなく、
8割方のエピソードは楽しんで観ることができたし、
1つ1つのお話が、1年半くらい経っても記憶に残っていました。
欠点も挙げておくと、
{netabare}序盤のストーリーを通して、
オタク文化に反対する父親、気持ち悪がる あやせ というキャラを使い、
世間一般の視線として描いているように思います。
そういう人を強引に説得する行為、一歩引いて客観的に見ると、
「観ているあなた、もしこういう偏見を持っていたら考えを改めなさい。」と、
桐乃・京介が…作者が言っているように聞こえなくもない。
少し押しつけがましい気がしました。
そもそも偏見を持っている方はタイトルの時点で敬遠すること請け合いですが。
それに、他の方も書いていたと思いますが、
ただの妹萌え作品ではなく、せっかくテーマをもつ作品なのに、
やはりタイトルで損をしている感が強くてもったいないですね。
また、観る人によっては、エ○ゲーネタも若干使いすぎに感じるかもしれません。
ツンデレ妹・桐乃の異常なまでの「ツン」の強さも鼻についた。
気に入らないことがあればすぐに殴る、蹴る。 そして理不尽極まりないことを押し付ける。
こんなヒステリックな妹に対して世話を焼く必要はないですよ、お兄さん。
(…でも、そうしたら物語が成り立ちませんよね。)
EDが毎回変わるのは、バリエーション豊富に楽しめる反面、
素晴らしい出来だったものが「見ている間は面白い」程度に成り下がってしまい、
覚えられなくて寂しいです。さすがに何周も見る時間はありませんし。{/netabare}
(スペース圧縮用のネタバレタグ。実際はネタバレではないと思います。)
作画は、線の使い方など、キャラの絵がやや独特です。
個人的には輪郭線の太い塗りつぶし的な絵柄が漫画みたいで少し気になりましたが、
だんだんと慣れました。
背景の絵は非常に凝っています。製作者の愛を感じました。
声優は、イメージに合っており、目立ったマイナス点はありません。
音楽について、OPの曲は全話同じ「irony」ですが、
よく見ると映像が毎回だいぶ違っているので面白く、目を逸らさずに見ていました。
興味・お時間のある方は、ぜひ違いを楽しみながらご視聴ください。
ED曲は記憶にないので書き出しません。全16話すべて違う曲になっています。
キャラについて、
メインヒロインである桐乃が見せる表情と言えば、
喜怒哀楽のうち「怒」が全体の7割くらい。
先述のとおり「ツン」が非常にきつく、個人的なキャラ評価はダウンです。
笑顔も もう少し多く見せてくれると嬉しかったです。
瑠璃、桐乃、沙織の3人が特に印象的ですが、
他の人物も ほとんど全員に存在意義(役割)があり、
無駄の少ないキャラ配置に好感が持てます。
ただし、個々のキャラは さほど気に入っていません。
ストーリー最後にはルート分岐があって、片方はTV未放送分(第12.5話~第15話)。
TV放送されたほうは「とりあえずの区切り」という感じで、
TV未放送分のほうは単なるファンサービスではなく、この作品の真のストーリーに思えます。
リアルタイムで観ている方にとっては困るやり方ですね。
なお、今ではネット配信された12.5話~15話も含めて、
旧作扱いでレンタルできると思います。