らしたー さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ジャンクフード感がたまらない
なんていうか、御名算です!って感じ。
高校生らしからぬ高校生たち。
無意味で唐突なエロス。
いい具合にチープなロマンス、バイオレンス。
そしてゾンビ。
いやはや、ほんとわかってらっしゃる…。
表現したいB級に向かって、あまりにも一直線で、ケレン味がなく、
なおかつ、楽しむための前知識をいっさい必要としない見事なユーザビリティ。
独自の世界観や設定を覚えないと楽しめないB級アニメはけっこうあるけれど、
こう、「ほら、皆さんご存知の!」というプッシュだけで成立しちゃうB級アニメは
案外貴重なんじゃないかって気もしてて、そこが一番のストロングポイントだろうと。
個人的にはもっとやりたい放題やっちゃってもよかったくらい。
映画の『パラサイト』とか、あの手の学生系B級パニックな感じが好きなら是非。
単純に「ゾンビもの」としてみると、ちょっと物足りないかもしれないが。
この作品は、そんなみんな大好きB級パニック映画なノリにくわえて、
ジャパニーズアニメ特有のミリオタ・ロリコンなエキスも混ぜてみますた、
ていう、素晴らしくどーしよもないアニメです。
雰囲気で言ったらそう、『ブラックラグーン』にあった多少なりと硬派な部分を、
とりあえずぜんぶエロに置き換えました、的な感じなのかなあ。
「ここはチュニジアか…!」などと、世の高校生が絶対に言わなそうなセリフが
けっこうすんなり耳に入ってきちゃうあれげな世界でもある。
チープな世界を本気で作るとこうなる。
そして、それはやはり、「面白い」んである。
**
にしても、やっぱりゾンビと言ったらエロなんだよなあ。
なんだろう、この相性の良さ。
それこそカレーライスに福神漬けって具合に。
花火が上がったらたーまやーてのと同じで。
ゾンビと言ったらお色気なのである。もはや合いの手のレベルで。
しかも、「とってつけた感」があればあるほどいい。
本作、エロに限らずアクションシーンの挟み方なども含めた全編を通して、
ある種の様式美が好きな人にとっては、確実に心地よさを感じることのできる
ステキなフィクション空間に仕上がっていると思われる。
たとえばの話ですが、
酒場のスイングドアを開けた瞬間、髭面のゴロツキどもから一斉にガン飛ばされたり、
横転したトラックが主人公がギリギリ助かるタイミングで爆発炎上する、みたいな
あーいうベッタベタな「お約束」に、ちゃんと価値があると思えるような人は
こういう作品とも相性いいんじゃないかな。
この、何から何まで「とってつけました」で出来ている安心感というのか、逆に。
相性の良いものだけを、アドオン(ミックスではなく)しました、という、
ジャンクフード的な安普請さがたまらないんだよねえ。
これはまさに、B級という概念と戯れるために作られたようなアニメだろうと。