くろゆき* さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
なくしてしまった過去は、変えることが出来ない。だから、今を戦って、未来を変えます!
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」の第1期シリーズを再構成・編集した劇場版。
一言で言ってしまえば総集編。
作品自体がファン向けではあるが、この劇場版の構成自体はちゃんと初見向けになっているので、
多少駆け足気味ではあるが、はじめて「リリカルなのは」に触れる人にも、違和感なく見れる作りにはなっている。
・上映時間に適応して方向性を変えたシリーズの再構成
なのは関連の日常描写や、本筋に関連の薄いシーン等をばっさりカット。全体的に物語がフェイト中心の構成にしてある。
TV以外に小説、ドラマCD、第二期A's等で語られたフェイトとプレシアに関わる話も、必要に応じ追加して描かれている。
130分という尺の中で、何を語りたいかをシンプル且つ明確にしており、非常に分かりやすい。
まあ、そのおかげで本作はどちらかと言えば「魔法少女リリカルフェイト」等と揶揄されることもあったりするのだが。
・TVシリーズに沿った画面作り
これは、良い点とも悪い点ともいえる。
作画こそ全部新規ではあるが、コンテに関して言えば、結構なシーンでTVシリーズを流用しており、(勿論、第1期の新房監督独特のズレたパースや偏った画面構成、極端な光源演出等は直してはあるが)
TVシリーズに慣れ親しんだファンにとっては、程好い既視感を得られる。
反面、そのコンテの流用のせいもあって、あまり劇場の大スクリーンを想定していない絵作りが目立つ。
戦闘シーンはコンテ段階から極力新規で作るようにはしてある辺り、製作者もその辺(スクリーン向けの絵作り)は極力意識しているんだろうな、という姿勢は伺える
・A's・StrikerSを意識した設定・演出
新房監督からバトンタッチして、第二期「A's」、第三期「StrikerS」を担当した草川啓造監督の手によって、積極的に後発の作品の手法が取り入れられており、それが魔法やデバイスの設定や演出に現れている。
これによって、バトルアクションとしての側面がかなり強調された。
TVシリーズを編集・再構成して劇場版にする、いわゆる「総集編手法」は、往々にしてあらかじめTVシリーズを見ておかないと話が把握できなかったりする場合が多く、本末転倒甚だしい作品がほとんどである場合が多い。
しかし、今作においてそれはなく、作画を含めほとんどの作業を一から新規でやっていることもあってか、一本の作品としてちゃんと独立して完成している。
(悪い言い方をすれば「第1期シリーズは要約すれば130分で収まる内容だった」ということになってしまうがw)
主人公であるはずの“なのは"の心理描写が少なく、彼女がフェイトにこだわる理由が見えづらかったり、プレシアの回想シーンがやや冗長など、問題点は散見されるが、
全体的に完成度は高く、ファンなら必見であると自信を持って言えるし、興味がある方はTVシリーズよりこちらをお薦めした方がいいと思える部分もある。