るぅるぅ さんの感想・評価

4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

ハーレムに翔る一夏

先ず良く出来た王道ハーレムアニメと賛辞を送りたい。
ダメハーレムばかり観ていると嫌気さすジャンルですが、久しぶりに良いハーレムアニメに出会えた気分だった。良いハーレムの基準も色々とありますが視聴者の不快要素を徹底的に排除していると隋所に感じられた。ハーレム設定の長短をわきまえたストーリー・キャラ設定には感心させられる。値にすると、ストーリー ２ ： ハーレム ８　とキャラアニメ重視の案配になっている。

ハーレム設定と世界観を結びつけた主人公。
主人公・織斑 一夏のキャラ設定と世界観を一体化にする。｢なんで、コイツがモテるの？｣という理由付けがされている。女性にしか反応しない兵器ＩＳと呼ばれる軍事兵器の時代に移り変わり女尊男卑になった社会で世界で唯一使える男。特別な男という認識を周囲に植え付け興味を抱かせる。作中にモブキャラとのやり取りを交えヒロインを絡ませた演出が多く観られる。そして専用機持ちと呼べる能力的に優秀なヒロインを触発させる材料になっている。
唐突にヒロインからモテるというご都合主義を世界観に溶け込ませリア充である位置づけにしている。
主人公の性格も優柔不断というテンプレを付けず鈍感さを特化させる。優しく時にヒロインに激を飛ばしヒロインの印象を穢さないように配慮している。さらに特別な存在であ主人公にチート能力を与えない。あくまで対等に見せるようにしている、特別＝無双キャラにするとヒロインのプライドをへし折るだけで視聴者に嫌悪感を抱かせるだけになってしまう。それだけにヒロインは視聴者の嫁と計算された考えが伝わって来る。そしてストーリーライン上のメインヒロインを漂わす方向性を持たせる。鈍感ではあるが、それはそれとクライマックスに繋げる要素はお約束として守っている。
緩やかなシリアスシーンにおいても融通を効かせた色付けにされている。難聴主人公に負けず劣らない鈍感さを際立たせツッコミ所もあるが、充分に心意気は感じられる好印象な主人公像になっている。

ストーリーは、面白そうだと感じさせる程度の中身があれば充分。寧ろほぼ進展しない深堀する気はないと感じる。ＩＳを作中ではヒロイン好感度ＵＰとしたバトルの役割をさせており、ストーリーラインに脚色させるには作者の技量が問われる所ではあるが今後はわからない（笑）
悪い表現を使うとキャラアニメでストーリーを引き伸ばしているだけ。ロボットアニメとして観ると良く動くスピード感ある絵が良いだけに物足り無さを感じてしまうだろう。ハードルを上げずハーレムアニメと理解して頂きたい。それだけにヒロインのキャラ設定に余念がない。ヒロイン５人が他のアニメであればメインヒロインを張れる逸材である。

篠ノ之 箒 （CV 日笠 陽子）
幼馴染・すぐ手が出る攻撃タイプ・弱ツンデレ
幼馴染特権を持つが不器用な性格ゆえ中盤にかけて空気な嫁となっているが、終盤にかけスポットが当たる。メインヒロインとして不遇ではあるが全体バランスを考えると致し方ない。
過去エピソードを掘ればいくらでも魅力が伝えられる。

セシリア・オルコット （CV ゆかな）
お嬢様気風・強ツンデレ
プライドが高く傲慢な所もあるがデレた時の破格力が絶大。
積極的で行動面において秀でいてるが空回りも多く愛嬌になっている。

凰 鈴音 （CV下田 麻美）
幼馴染２号さん・弱ツンデレ
箒とオルコットを足して割ったようなキャラ設定に加え情を重んじる優しさを色付けしている。
メインエピソード以外は薄味だが使うタイミング次第で充分に際立つ。

シャルロット・デュノア （CV 花澤 香菜）
ボクっ娘、中性
他のアニメにおける主人公と仲の良い男性サブキャラ的なポジからアプローチを掛ける。
ポジションが美味しいキャラになっており、他ヒロインに比べ穏やかで常識ある思考を持ち合わせ何かとチャンスに恵まれている。名言{netabare}「一夏のえっち」、「一夏が食べさせて」{/netabare}

ラウラ・ボーデヴィッヒ （CV 井上 麻里奈）
敵意むき出しタイプ・強ツンデレ
強面の印象とは裏腹にデレた時の反動が大きい。
積極性を通り越し強引な押しを見せるギャップが持ち味。
名言{netabare}「お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん！」 {/netabare}


５人それぞれに共通して負けず嫌い・可愛らしい嫉妬深さもあるが、主人公の鈍感さを理解した上で駆け引きする姿が微笑ましくバカっぽさが愛着を持たせている。また、主人公の親身な行為がヒロインをたきつけ相乗効果として魅力に繋がっている。キャラデザイン・キャラの個性・表情・仕草だけではない声優の破壊力を最大限に活かし可愛く描き自然と好きなヒロインを追っかけ楽しめるようになっている。

欲を言えば些細なことだが、ＯＰアニメメーションの工夫が乏しい。せめて登場するキャラごとにシーンを増やすといった作りであればＥＤ曲のキャラソン仕立てと同じく高評価できただろう。
また、物語重視で観る方には伏線が置き去りで後味は良くない。ただ、私的ながらハーレムアニメの構成を知る上でＩＳほど良く出来たアニメはないと想う。花澤さんを筆頭に好きな声優に癒されたい方は間違いなく楽しめる。

原作未読で今後の方向性はわかりませんが２期も無理にストーリーに深みを出そうとせず、キャラ立ちしたヒロインを活かし今作同様キャラ重視で駆け抜けて欲しい作品である。