くろゆき* さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 2.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
出会いは理不尽な悲劇の始まり
この作品を端的に紹介するならサスペンス ・ ホラーです。 この表現ですぐに思い浮かぶ作品は 「リング」 や 「ひぐらしのなく頃に」 などでしょうか。
この作品のジャンルは、サスペンス ・ ホラー ・ ミステリーと紹介されているのに、何故 “ミステリー" を省くのか ? それは、この “ミステリー" の部分に大多数の視聴者は注目して “推理" することに集中しようとするからです。
この作品は、アニメとして表現されている映像 ・ 音響 ・ 舞台設定など作品から放たれる “雰囲気" から、視聴者は恐怖感を味わい、何故、災厄は起こるのか、どうすれば良いのか、と自然に感じた方が楽しめると思います。
勿論 “推理" することが悪い訳ではなく、この作品を楽しむ一つの要素ではありますが、それ自体が楽しみではないと思うのです。 仮に視聴中トリックに気付けたり、見事推理が実って死者が特定出来たとしても、それが事件の解決には繋がらないのですから、達成感は得られないと思います。
この作品の恐怖感を煽る “雰囲気" そして “演出" は素晴らしいと思います。 そこを十二分に味わった方がお得だと思いますので、私は敢えて “ミステリー" は省き、この作品は “サスペンス ・ ホラー" と紹介したいです。
“雰囲気" や “演出" の素晴らしさとは裏腹に、“結末" そして “その後" に物凄く違和感を感じます。 確かにあの “結末" は悲惨であり、恐ろしいです。 しかし、やり過ぎのように思います。 今まであったであろう 「ある年」 の中でも、災厄が止まったにもかかわらず、一番悲惨な結末ではないでしょうか。
そして “その後" ですが、とても悲惨な結末を迎えた後の会話とは思えません。 恒一の下した決断はそんなに軽いものではなかったはずです。 辛過ぎる出来事だったのですから、空元気とも受け取れなくはないですが、それにしても清々しささえ感じる “その後" の描写は違和感ばかりが付き纏います。
恒一達の年は災厄が止まりましたが、これからも 「ある年」 は続いて行くのです。 個人的には最後まで “雰囲気" を大切にして欲しかったなと思っています。