くろゆき* さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
めんまねぇ、かきタマがいいの!かきタマ!
この作品のテーマのひとつは“思い出"でしょう。
ただ、私たちは子供のころ夢中になっていた何かにそれを見いだすことがあるため、思い出と言っても世代によって様々です。
本作品は『ポケモン金・銀』『ボーボボ』をモチーフにしたゲームや漫画が登場していることから、1999年から2001年辺りにこれらの作品に親しんでいた小~中学生は間違いなく反応するに違いありません。
私はまさにこの世代の人間であり、作中に登場するこれらの要素に反応しては懐かしい気持ちになりました。
また、ED曲『secret base ~君がくれたもの~』はZONEが2001年8月にリリースした楽曲のカバーであり、上述の2作品が流行ったほぼ同時期にヒットした曲でもあります。
本作品は「10年後の8月また出会えるのを信じて」の歌詞に従い2011年の夏に時期を合わせているでしょうし(本編の過去と現在は5年の開きですが)、secret base(秘密基地の意)を舞台にした作品であることから、この曲の歌詞を強く意識した内容であることは間違いありません。
物語ですが
引きこもりとなったじんたんを筆頭に、かつて《超平和バスターズ》として集まっていたグループが、5年前の事故によるめんまの死がきっかけとなって離れてゆき、どこか陰りのある性格になっています。
私は当初、めんまはじんたんの憑き物のようなものではないかと考えておりました。
じんたんのみが“引きこもり"“高校受験失敗"といった負の側面をあぶり出されており、自身が向き合うべき過去の象徴としてめんまが存在しているのではなかろうかと。
めんまを傷付ける一言が理由で彼女が死んでしまったと思い込んでいて、それが自責の念として抱え込むようなことになっていたのも序盤から明らかになっていましたからね。
しかし、じんたん以外の4人もまた、めんまの死を引きずっていることが物語を進めるうちに明らかとなってきます。
ゆきあつが(おそらく作中最大の爆笑ポイントと思われる)女装をはじめとした奇行に出たことも、事故のきっかけがめんまへの告白だったためだと思い込んでいたためであり、ギャル仲間と無理に合わせてつるんでいたあなるはじんたんが好きなあまりめんまに嫉妬していた自分を許せていませんでした。
そして、ゆきあつが苦しんでいるのをきっかけにつるこは彼を見守り理解者になろうしていました
(つるこがあなるに嫉妬していたのは彼女の想い人であるゆきあつとあなるがお互い理解者であったためですが、ゆきあつとあなるはペルソナで自分の精神を保っている共通点があり、単に似たもの同士であっただけかもしれません)。
この辺は5角関係とも言うべき複雑な関係になっていますが、共通しているのはめんまが精神的に大きな影響力を持っていた点です。また、彼らとは少し違う位置に立っていたぽっぽにしましても、事故を目撃したことが頭から離れず、世界を回ってトラウマから逃げ出そうとしました。
“憑き物"が取りついていたのは、超平和バスターズ全員だったというわけです。
ですが、
それだけ「大事な人を失うこと」とは重く苦しくつらいものなのです。
こうした重い事実を受け止めるのには長い年月を必要とするものですが、忘れられようにも忘れられません。命とは、龍勢のように一瞬で上がっては印象深く散るようなものですからね。
過去のことを思い出すと、楽しかったことを思い出したいものかもしれませんが、つらい思い出は押し込めてしまいがちです。
ですが、こうした「大切な人の死」が人生のなかで避けることができない以上、その大切な人に対してどんな気持ちで向き合えばいいかが大切なものになってきます。
最終回でじんたんたち5人がめんまを「見つけた」のはきっと、めんまに対する思い出を受け止めて、現実と向き合えたからだと私は思います。
めんまは肉体が死んだところでも、思い出のなかでは元気な姿でいるでしょうからね。
そして、めんまはみんなのことが大好きでした。ただ、この「大好き」とは、「ラブ」ではなく「アガペー」であり、そんな性格だからこそみんなの思い出に残るような存在になったのでしょう。
評価は個人的な思い入れも含めて「最高!」と評価した次第です。
この作品に込められている要素のひとつひとつが心に直接響いてくる、そんな素敵な作品でした。
最後に、超平和バスターズにはいくつもの意味があるように考えられます。
ひとつは「平和を脅かすものを退治するもの」、もうひとつは「平和を壊す(バスターする)」なのですが、それなら「平和バスターズ」です。
そこに「超」がつくことで、これらを“超えて"未来に進むという意味が込められているのではないでしょうか。