緑川悠一郎 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ハッピーエンドにできない震災
とてもとても悲しい作品です。
何よりも弟が死んでしまうのが辛いですね。
それも、姉は絶対に自分を責め続けるだろうっていうのが分かるから
震災後、交通機関が麻痺してしまったために、お台場から世田谷まで歩いて帰らなくてはならなくなった姉(未来)と弟(ゆうき)
お台場でやっているロボット展に行きたいと行ったゆうきのせいで、こんなことに(歩いて帰宅しなくてはならない状況に)なってしまった…と未来は弟を責めます
ゆうきとしては昔お台場で家族で橋を見たことがあって、だから一緒にお台場に行きたかった
これまでずっとお姉ちゃんにベッタリだった弟が、その時初めて未来に反発して、走り去ってしまいます
その先で東京タワーが倒れて、弟は頭に怪我を負う
ハッキリとは分からないけれど、おそらくその怪我が遠因となって、(あとは歩き疲れ)、弟はその後、道端で倒れて死んでしまう
その辺の現実の出来事は、ゆうきが幽霊になって姉に家まで一緒について歩いたために、(ゆうきが幽霊だったと分かってから)、最後に判明する、というかたちに物語上はなっている
けれど、姉としては絶対に自分を責めるだろうし
ラストは「弟のためにも自分は生きなければならない」といったかたちで締めくくられてはいるが、きっと命の重さを背負ったまま生きなくてはならないことに変わりはないだろう
そのことを考えると、ものすごい喪失感に襲われる
弟が死んだと分かると姉は自分を責めてしまって、家までたどり着けなくなってしまうだろう。だから、姉が無事に家に帰るまでは幽霊でいた、という設定は確かに感動的
だけど、それ以上に悲しい
結局のところ、こういう重い題材を扱おうとすると、なかなか完全なハッピーエンドにはできないということなんだろうな
なにもかも幸せなかたちで完結していたら、予定調和感がぬぐえないかんじになってしまうのだろう
それにしても悲しくて、全て観終わった後に心にポッカリ穴があいてしまったw
でもそれでも、観たことない人は、この作品は観た方がいい
不測の事態において他人を思いやれる人間というのがどれだけカッコいいかわかるし
普通に感動して心が温まるシーンも沢山あるから!