せんたー試験 さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 1.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
暖かい
地球温暖化が叫ばれている中、南の小さな島国の一部では水没の危機が叫ばれています。
この物語の世界はその島の人々の様に水に沈みゆく土地で一人素朴に生きる老人の話です。
{netabare}
小さな部屋で暮らす老人は水に家が沈むごとに家を建て増ししていました。
ある時、完成した上の階の建物に荷を運ぶ途中で煙草を吹かすパイプを水の中に落としてしまいます。
色々試してみたけれどしっくりこないので落としたのを拾いに潜る事にします。
{/netabare}
{netabare}
以前、この老人には娘がいて奥さんがいて小さいながら家とささやかな緑の大地があったようです。
奥さんと知り合った頃は土地は水没しておらず、よく遊んでいました。
娘が生まれ家族が増えた辺りから土地は水没をはじめたので老人は大きな二階を作ります。
その後、娘は嫁ぎ、奥さんとは死別し、1人になります。
老人は水没した家の中を思い出を振り返りながら、過去へさかのぼっていくように潜っていきます。
{/netabare}
声優が声をあてていないアニメで描写と作画で雰囲気を出しています。
非常にせつないような、悲しいような、そんなお話です。
人の短い一生のうちに何もかもが変わっていく、時間の薄情さを際立って感じさせます。
成長していく家が老人の人生の集大成の様で誇らしくもあり。
自分のもとを去っていく楽しげな瞬間がさびしくもあり。
「結局何が残るのだろう」といったあての無い悲しみを強く感じました。
それでも生き続ける老人は抜け殻のようでも、実は楽しい瞬間が之まであったからこそ生きていこうと前向きである…そう思わせてくれるようなそんな気高さを教われるようなアニメです。
人生のはかなさ、楽しさ、美しさ、そう言った物を含む諸々を抽象的に描いた深いアニメに見えました。