タマランチ会長 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
庵野評
ここでは庵野秀明氏の声優起用について私見を。
確かに最初は違和感ありました。下手だなあって。でも、見ているうちに違和感なくなっていきました。あれだけ「ド下手」な演技でも、「後半違和感なくなった」って意見は、ここあにこれでも少なくありません。なぜでしょう。
考えてもみてください。突然日本一のアニメ監督から、主役の声をやってくれと言われた素人の心境を。普通なら腰が引けてしまいますよね。でも、庵野氏は引き受けました。彼も今を時めくアニメ監督ですから、宮崎監督が何を自分に求めているかはほどなく理解できたことでしょう。自分の仕事にのめりこむ朴訥なクリエーターというキャラクターからすれば、作品内での堀越次郎像と庵野氏はピッタリでしょう。だから、多くの人が「違和感ない」と感じたのではないでしょうか。愚直に、真面目に声優の仕事をやりきったことに、嘘はないのですから。かえってリアリティーがでたかもしれません。
作品の総評は、すべて5にしました。日本のアニメ史に輝く金字塔となるでしょう。ええ、泣きましたとも。
宮崎駿は、これまでかなりデテールにこだわって画面を作っていましたが、この作品はかなり細部を抽象化しています。それでいいのだと思います。肩の力を抜いて、作品作りを楽しめたのではないでしょうか。寡作だった黒澤明が晩年作品を連発したように、宮崎氏も人生のラストスパートを、ジョギングでも楽しむかのように走りきってほしいと思います。そういう作品もまた楽しみです。
もうちょっと書きたいことがあるのですが、今回はここまでとします。