STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
落語そのものを描いていないのに、凄く落語を感じる
原作は未読。
ひらがなのタイトルからして、当初は高校か、大学の落研を扱った「けいおん!」落語版
みたいな話かと思っていたら、全然違った。
一応、女子のプロの落語家の話だが、大半が楽屋での会話で、落語や落語家自体の描写は
あまりない。
個人的には落語や落語家の世界は結構好きなので、その辺はがっかりだが、この会話の
爆発力は凄いものがあり、その面では充分堪能できた。
「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りのない
会話をお楽しみいただく番組です。」などと言っているが、これ自体ネタみたいなもので、
差し障りがないどころじゃなく、とにかく笑えるという意味ではメチャクチャ面白かった。
この会話に関して、キレのあるパロディと毒が満載という感じ。
この毒が凄すぎて、他のアニメや漫画、メディア、政治体制、役所、企業、韓国・中国を
始めとする外国、宗教、一般的な良識などに次々と毒を吐きまくる。もう放送コードギリギリと
いった内容で怖い怖い。
ただ時事問題に多く触れるために今観ている分にはかなり面白いが、何年か経つと一気に
古臭く感じるかも。
会話のテンポも早く、話題も連想から次々と変わっていくために、どこまで行ってしまうの
だろうと思うこともあるが、ちゃんと戻ってきてきれいに収まる話が多く、これ自体よくできた
新作落語を聞いているような感じ。
そういう意味で、落語自体を描いていないが、凄く落語を感じる作品でした。
ほとんどストーリー展開のない雑談話で、ここまできれいにまとめるという、話の構成力は
凄いものがあると思う。
シリーズを通しても、最終回などは初回とつながる話になっており、上手いなと思わせる
ものがある。
この最終回のエンディングだが、散々楽屋で馬鹿な雑談をしていた魔梨威さんが、自分の
出番になると、スッとプロの落語家の顔になるシーンが凄くいい。
1話三部構成で、二部は楽屋から離れて東京の名所観光を行うが、これが目先を変える
意味でもいい気分転換になる。
もっともこちらも毒のある「散歩番組」といった感じで、有名スポットに対するツッコミ
などが面白い。
落語家の世界という部分では、主要キャラ5人の内、蕪羅亭魔梨威と空琉美遊亭丸京は羽織を
着ているところから二つ目かな、残りの波浪浮亭木胡桃、防波亭手寅、暗落亭苦来は前座
みたい。
二つ目と前座がタメ口で話していたり、雑用が多いはずの前座が楽屋でのんびりしているのは
ちょっと気になるが、まあアニメ世界の落語家ということで・・・。