「ココロコネクト(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
4678
棚に入れた
22274
ランキング
119
★★★★☆ 3.9 (4678)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ミチランダムまで含めた感想です

 原作は未読。
 リアルタイム放映時は、プロモーションのやり方や、OP主題歌を担当したアーティストの
騒動などで色々と問題になっていたが、作品そのものの内容とは関係ないことなのでここでは
そのことは触れない。
 こういったことと、作品そのものの関係に関しては個々によって捉え方が違うのだろうが、
個人的にはアニメに限らず、創作物そのものと、その作り手の問題は割と切り離してみる方。

 最初の「ヒトランダム」だが、「人格入れ替わり」自体は他作品でもよくある展開
なんだけど、大概はそこから生じるドタバタをコメディとして楽しむために使われていることが
多く、この作品のようにシリアス要素をメインとして使用するパターンは割と珍しいような。
 もはや古典とも言うべき「おれがあいつであいつがおれで」(映画「転校生」)もシリアス
要素がそれなりにあったが、あちらは性の転換に比重が置かれており、この作品は相手の境遇に
身を置くことで、相手が持っていた心の傷を知ってしまうことに比重を置いているのが興味
深い。
 これは「ヒトランダム」に限ったことではなく、文化研究部の面々は自分達の身に起きる超常
現象に苦慮することになるが、この現象より深刻だったりするのが、以前から個々が抱えていた
問題の方で、むしろ現象によって問題の本質が明確になってくる。更に場合によっては、この
現象を問題解決のための好機になったりする。

 次の「キズランダム」における「欲望解放」は、「人格入れ替わり」と比較して一見地味な
現象だったが、ストーリー展開としてはこちらの方が面白かった。
 何より怖いのは、現象自体は異常なものだが、言動や行動自体は本人の意思そのものである
こと。現実でも言わない方がお互いのために良かったことは幾らでもある。
 逆に相手を傷つける覚悟で踏み込むことで問題解決になることもよくあり、改めて自分の身の
回りを振り返ってしまうような展開だった。

 3番目の「カコランダム」の「時間退行」は、現象としては一番アニメ映えするもので
あったが、シリーズ構成がまずかったのか、ちょっと駆け足っぽい印象があった。
 ここでは主に永瀬 伊織の家庭問題を含めた心の闇が浮かび上がってくる。この問題自体は
「ヒトランダム」の頃から描かれてはいたが、ここにきて当初考えられていた以上に根深い
ものであることが判る。ただ、その根の深さに比して、解決法も今一つ安易だった感じ。

 そして、テレビ未放映の「ミチランダム」の「感情伝導」。
 自分の本音が他に伝わってしまうという点で、2番目の「欲望解放」に被ってしまうような
ところがあり、現象としてはちょっと目新しさに欠けるが、前の「カコランダム」で消化不良の
感があった伊織の問題を正面から捉えており、個人的には好きな話。
 ただ、ここに至って、何故伊織の心が一気に折れてしまったかをもう少し克明に見たかった
感はあったが。

 伊織を中心にこの作品を見ると、4つの現象のいずれも「自分が自分であることを示す
ものさし」を探す話といった感が強い。
 伊織ほど深刻ではないが、他のキャラ(特に稲葉 姫子や桐山 唯のヒロイン陣)も大なり
小なりそういった傾向があり、超常現象を通じて「本当の自分とは?」を問うようなテーマ性を
感じる。
 そういう意味では、フウセンカズラのやっていることはマクロ的視点に立つと、個々の自分
探しのきっかけになっているのも事実。実際に現象に遭遇している身としては迷惑行為以外の
何者でもないのだろうけど。

 先に触れた伊織の問題にしろ、唯の男性恐怖症から始まる問題にしろ、1つの現象で問題が
解決したかに見えて、実は解決していないという展開が多い。
 人によってはしつこいと感じるかもしれないが、傷が深い分、そう簡単に解決してくれない
わけで、こういう展開は個人的には好み。

 4つの現象ともかなり演技力を要求されるようなところがあり、これに関しては主要キャラ
5人のキャストの頑張りが感じられた。
 「キズランダム」、「ミチランダム」での感情剥き出しの演技や、「カコランダム」での同じ
キャラの年齢の違いによる使い分けなど。
 残念だったのは、「ヒトランダム」はAの声で、Bの性格、口調を演じるみたいな、声優の
腕の見せ所みたいな感があるのだが、まだキャラの印象が掴める前の初回からいきなり入れ
替わられてしまったので、初回視聴時はその辺を堪能できなかった。

 最後の「ミチランダム」は地上波未放映。最近だと「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」
や「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」などもそうだったが、最初からテレビ放映で
収まりが着かないシリーズ構成の作品が増えてきている感がある。
 個人的には内容をはしょられて無理に1クールに収められるよりはこちらの方がいいが、
1クール、2クールといった最初に話数ありきのシリーズ構成に無理が生じてきているような
感が。

投稿 : 2013/08/10
閲覧 : 224
サンキュー:

5

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