こたろう さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
デカルチャー物語
ロボットもの、アニメオリジナル作品。
時は遥か未来、未曾有の氷河期を超えて陸地が消滅し海しかなくなった地球。
ハイテクな文明は失われ、大きな船を繋ぎ合わせた船団で人々が生活する地球で、その昔宇宙へ脱出を果たした民である超テクノロジーを持つ主人公が、そこに生きる人々の暮らしに触れて変わっていくお話。
単一政体で効率重視社会の軍人であった主人公。軍務しか考えられなかった人間のカルチャーショックで物語が進みます。
どっかで聞いた様な設定だなぁ、と思ったら、初代マクロスに似てます。
あれも戦争するためだけに調整されたゼントラーディ人(元は地球人)が、歌や文化に触れて戦争以外の社会に適合していくお話。
ゼントラーディ語で、「ヤック・デカルチャー」な体験をするわけです、本作の主人公は。
・・・失礼、しょーもない脱線でした^^
さて、話を戻して。
ストーリーは前述のとうり、異邦人である主人公が旧態依然とした地球文化に懐柔されていくというもの。
徐々に徐々に変化していく様がバランスがよく、ほぼ無駄なエピソードのない巧みな構成で気持ちよく視聴できました。
わずか1クールの間に、
・主人公の成長
・ヒロインとの絆
・ガルガンティアの人々との交流
・これまでの自分のへの疑問
・戦争の原因と地球の歴史の謎
・クライマックスの戦い
と、全て描かれており綺麗にまとまっているのが秀逸です。
バトルや戦争が中心ではなく、人々の暮らしや価値観・幸福感・生きる意味、そういった題材を戦争しか知らない主人公を通して考えていく作風。
ありきたりではあるものの、このテの普遍のテーマ性はやはり心を揺さぶるものがあり、作品に深みを与えています。
SF的な部分での難解さはなく、難しい用語なもど少ないので、万人に楽しめる良作と評していいでしょう。
オススメです!
最後に、ちょっと個人的な感想というかタワゴトを・・・
戦闘シーンこそ少ないですが、本作は紛れもないロボットアニメ。
主人公が人間らしく変わっていくと同時に、主人公のレド傍らにあって常に彼を支え続けているロボット=機動兵器のコンピュータシステムであるチェインバーもまた、彼と供に地球文化の情報を摂取して人々と交流していきます。
無機質に事務的・合理的に物事を判断しているだけの機械ヤロウが、僅かに、ほんとにほんの僅かに血の通ったような言動をみせている(ような気がする)のがニクイ。
超文明社会からのもう一人の異邦人、チェインバーの成長物語としての一面が本作に確かに存在しています。
一緒に艱難辛苦を乗り越え、支え、考え、問答する相手として最も信頼のおける相棒。
なんちゃら支援システムのインタフェースに過ぎないチェインバーが、レドとともに変わっていったのが感動的でした。
戦闘や生活だけでなく精神面でもチェインバーがレドを救うシーンがあり、名実供にパイロットの支援をするチェインバー。
愛機とは、こういうもの。
パイロットのロボットへの愛と信頼なくしてロボットものとは言えません。
そういう意味で、本作はまさしく良質のロボットアニメでした。
チェインバー、お前さんにシビレたぜ。