ローズ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
靖国の桜
『最終兵器彼女』のOVA作品。
主人公は最終兵器となった ちせ の前段階として作られた兵器を持っているミズキ中佐。
自ら志願して兵器となったミズキだが、自分の非力さを認めざるを得ない状況になってしまう。
普通の高校生であり望まないのに最終兵器となった ちせ とは対照的な自衛隊に自ら入隊し志願して兵器となったミズキ中佐。
始めは ちせ を兵器として戦わせて自らと同じような境遇であると考えていたミズキ。
しかし、最終兵器であることの苦悩や好きな人に対する感情を ちせ から流れてくる思考によって知ってしまい、ミズキの考え方が変わっていく事となります。
軍人として ちせ を指導しなければいけない立場と、同性として恋愛感情を持つ事の間にいたミズキは苦悩したのでしょう。
ミズキの最後の考えを想像してみると、ミズキが育ってきた環境と全然違う ちせ の事を応援や背中を押してあげたかったのではないでしょうか。
好きな人がいても許されない恋で終わってしまい、不完全な兵器であったミズキにとって ちせ は羨ましい存在だったのかもしれません。
死ぬことを覚悟したミズキにとっては ちせ がいる事によって希望を持てたのでしょう。
テツと部隊が別れる時に渡されたジッポですが、もう1度、ミズキが上官になった時に返す約束をします。
ミズキの最後の出撃でテツを助けた時にジッポを握らせた時には、ミズキ自身の覚悟は決まっていたのでしょう。
兵士としては仕方が無いのかもしれませんが、悲しい別れ方です。
本編にリンクするような作り方をしているので、『最終兵器彼女』を観終わってからのほうがいいと思います。
戦争を美化するよりも前に悲惨さを知っておくほうがいいかもしれません。
「戦争は必要悪である。」と割り切る考え方もありますが、そんな簡単に考え方を決める事はありません。
死ななければいけない立場を知る事によって、生きる大切さを知ることができる作品でした。