カミリス さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
最高の素材でできた凡作
巷では劣化ギアスとか言われているのは知っていたが、ここでの総合点が高いため視聴。
1回観終わった後で、もしやと思い少しレビューに目を通したが、予想通り作画と音楽で点数が上がってたんだね。皆やっぱりそう思うのか。
とりあえず酷評されてるストーリーを理解するため、2回視聴した。
2回観ても観終わった後は「コレジャナイ感」「コウジャナイ感」があった。なんともすっきりしない。
というのも、重要人物であろうキャラが安いし浅い。
まずヒロインとして扱われていたハレだが、どう見ても彼女は主人公の良き理解者であり、主人公を支えたキャラの一人だ。彼女が死亡したときの主人公の絶望っぷりをみても、主人公にとって大きい存在だったというのがわかる。
そういう描写があるにも関わらずだ。その後の「イノリ”だけ”がずっと僕を信じてくれた」というセリフ。
なんというか、このセリフのせいで、主人公にとってのハレが安っぽくみえてしまう。セリフの前に(今生きている人の中で)と付け加えれば少なくとも筋は通るが、いろいろ成長しきったであろう終盤にもってくるセリフではない。
あそこは、「イノリはずっと僕を信じてくれた」だ。”だけ”は余計である。
城戸に関しては、まず名前をみただけで誰だっけ?と思う人も多いはず。殺人鬼としての設定は生かされることはなく、ただミスリードとして扱われただけ。そのわりには最終話まで生き残り、簡単に殺されるというモブなのかそうでないのかイマイチわからない。特に掘り下げたエピソードもないし、敵側にいる理由も謎である。
亞里沙に関しては、序盤から終盤からそこそこに登場し、とくに中盤以降は体を売ってのクーデター、祖父殺しなどを起こし、ガイに対する執着心の強さを見せつけてはいるが、それが特に報われるわけでもなく、何故か最後まで生き残っており、しかしアフターストーリーには一切登場はせずという散々な扱い。
ダリルに関しては、当初前面に出ていたかませ臭のする悪役ぶりが速攻でなくなり、ツグミとは自分を犠牲にして守るシーンがあったけど、そもそも深い描写もないし、結局最後は否定し敵対してるという、もうブレブレである。ちなみに、こいつ強敵というわけじゃなく、敵としては役不足である。
物語の根幹に関する部分で重要な、マナとユウ。どちらも非常に重要なポジションであるにもかかわらず、ユウに関しては、1クール終盤でのラスボス的な出場をしたのに、その後の出番も少なく、説明不足での即退場。
マナに関しては、異常な描写ばかりが目立ち(というかほぼそれ)、マナとしての人格は曖昧なままで、ガイが心底惚れていた部分が全く見えない。どうみても、ガイとの絡みは描写不足である。
ほかにもいろいろあるが、つまりほとんどのキャラがシナリオに便利な道具として都合良く使われているのだ。だから、感情移入もできないし根強い印象も残らない。
そこまで、主人公以外を徹底的に物語の道具として扱っているのに、サブの話(ツグミとアヤセとか)をちまちまっとやったりするし、最終話にハレの誕生日をしたりと、キャラの扱い方が終始謎だった。
最終話のイノリが主人公にあやとり(命)を渡すシーンは、一話との対比にもなってたりと光る演出は多数あった。でも最後も切なさを出したいのはわかるが、イノリが主人公に好意をもったきっかけが明確に表現されてないから、切なさを感じない。そういったやりたいことを優先したために、その他が蔑にされ評価を落とすこととなったもったいない作品。
あとOPの出来が良すぎて、OPムービーからいろいろと想像して期待を膨らませ過ぎたのもあるかな。とくに後半のOP。あのサビは反則だろ!
個人的には4クールでやってほしかったのと、やっぱり最後は主人公は消えるほうがしっくりきたなぁって思った。