sinsin さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これぞ究極のアニメ!!
【良い点】なんといっても、黄瀬和哉氏の作画。光と影の凝った演出。
【悪い点】50分とゆう尺を考えればなし。
【総合評価】このアニメは、1960年代の横田基地のアメリカンスクールが舞台。ある程度定石を持った脚本による、50分とゆう短い尺の中で、翼手(吸血鬼)との裏世界での戦いを、描いた作品である。
その脚本は、とてもシンプルに作られた印象、必要最低限の説明で、ストレートに世界観を表現している。そのため、とっつきやすい反面、展開がだいたい予測できる。したがって演出の方法論として、「リアル」でなくては、ならない。
そんな、BLOOD THE LAST VAMPIREの世界観。
人間達=世界の表のイメージ=光。
対比
翼手達=裏世界に潜むイメージ=闇。
翼手達は、人間社会に紛れ込み、人間達の生き血を吸う。普段は、人間の姿をしているが、怪物に変身して空を飛ぶこともできる。
そんな翼手達を、米軍は秘密裏に、抹殺しようとしていた。小夜(バンパイアの生き残り?の女)と共に。
小夜。
セーラー服の女学生=弱そう、無抵抗のイメージ=表。
対比
いつも手に持つ日本刀=攻撃的、強さのイメージ=裏。
小夜は、二面性の対比構造を強く持つ、とても存在感のあるキャラクターである。強く美しい。
小夜は、翼手達に対して非情。最後に全ての翼手達を抹殺する。
だが、そんな死ぬ間際の瀕死の翼手に、自分の血を与える。最後の情けだろうか?小夜の優しい一面。
テーマは、「表と裏」「光と闇」だと思う。バンパイア創作物には、定石である。
したがってつまらないかといえば、さにあらず。次は、作画表現。
何と言ってもこの作品は、「作画」である。
その、寺田克也氏のキャラクター達は、手塚治先生の様な抽象化、でもなく、美少女アニメのような記号化でもない。
どちらかといえば、画家ロートレック、天野喜孝氏の様な、個性を強調したデッサンといった感じである。
目指した、ところは、絵画的芸術性である。その点においてこの作品は、非常に芸術性が高いと思う。
それを、表現するためであろう、動画の線に独特のタッチを与え、手書きのぬくもりを表現している。
無機質な絵の中に、命を吹き込み本物の「人」の感情を、「リアル」に感じさせることに成功している。
押井監督のイノセンスに決定的に抜けている部分である。
リアルな実写的表現には、絶対的に「芸術性」が必要な事を、証明した作品でもある。
また、それを支えた、北久保監督、日本最高のアニメーター黄瀬和哉氏、キャラクターデザインの寺田克也氏、またこの作品に携わった多くのクリエイター達は、素晴らしい仕事をして見せた。
まさにこの作品は、既存のアニメを超えたアニメ、光と闇の芸術作品である。
したがって、客観的評価は、非常に高い。