sinsin さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外と楽しめる押井作品。
【良い点】シーンごとのイメージを巧く表現した。
【悪い点】話が、わかりづらい。
【総合評価】この作品は、「パトレイバー」の世界観を用い、リアルな戦争とは何かとゆうことを、問うた作品である。
ある日、正体不明の戦闘機が横浜ベイブリッジを爆撃することで事件は、起こる。その後軍のコンピューターもハッキングされる。
偽りの平和は、終わったのだ。パニックに陥りそのことに過剰反応する日本政府。自衛隊の暴走。
警視庁特車二課の後藤喜一は、陸幕調査部別室の荒川茂樹と名乗る男と、接触。
事件の裏に、テロリスト柘植行人の存在を知る。
そんな、機動警察パトレイバー 2 The Movieの世界観。
東京=戦争が終わり、大地とはかけ離れ人間が生態系の一部であることを忘れ価値観の特殊化。平和の価値を見失う=幻想。
対比
柘植行人=非常事態を引き起こし、東京の人間達に平和の価値を思い出させる=現実。
つまり、平和ボケした東京に住む人達に「平和の大切さを思い起こさせる」ためのテロであった。
南雲しのぶ(後藤喜一の同僚)と、柘植行人は、昔男女の関係があったようだ。後藤喜一との三角関係でもある。
真のテーマは、「特殊化した価値観からの回帰、原点回帰」であると思われる。そのために、平和ボケした日本人を象徴として利用したのだと思う。
そうすれば、本編冒頭のシーンでの異教の神像が見下ろす古代遺跡の伏線の意味も解るような気もする。
なお、この作品に登場する「鳥」は、押井監督に言わせれば「空を飛ぶものは、人間からすれば怖いもの」だそうだ。
やはり、某パニック映画の影響か?
しかし、「鳥」の中でも今作は「鳩」を、強調している。この「鳩」は、「平和」を象徴するイメージ。
同時に、物語ラスト無人でコントロールされる飛行船には、前作同様「カラス」が一緒に飛んでいる。管理、支配のイメージである。
鳩=平和ボケ=無知。
対比
カラス=管理、支配、コンピューター=科学。
本当に、人間とって怖いのは、無知である事と、科学とゆう事か。科学とゆうのは、武器を生み出す。それを、使うのは、無知な人間とゆうわけだ。なるほど。
前作に比べ、キャラクターは、リアルになった。作画による演技も個性を誇張したアニメっぽい演技ではなく、どちらかといえば、立ち居振る舞いで見せる近年の押井作品のような、の大人っぽい演技になった。
意図的に、シーンによって異なる背景、ヴィジュアルイメージで、そのシーンを印象に残る場面として、確立している。前作の延長戦にあり、場面ごとの異なるイメージで表現する事に成功している。前作より進化した。
竹中直人は、深みのあるセリフまわしで、好演。その声は、自然で本職の声優より良かったと思う。
凝った、カメラワーク、センスのいい脚本は、その娯楽性と共に高次元でバランスが取れている。最後のどんでん返しが良い。
同時に、背景に映る異質物、鳥の羽ばたく姿、水槽の魚は、とても繊細に動く。その、良くできた人間ドラマと共にアニメーションとしての面白さも追求している。
「演出」とゆう、観点から見れば、とても優秀な作品。