sinsin さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
作画が素晴らしい4クールアニメでとても野心的。
【良い点】一環としてテーマ(制作陣の怨み?)を喚起した所。1期OPテーマ。4期OPテーマ。
【悪い点】殺しても死なないチートな主人公。EDテーマ。
【総合評価】前作に続き、ナチュラル、コーディネイターの存在するコズミック・イラの世界において、三人の視点から「戦争」を描いた作品。
シン(ザフト軍人)は、現実認知。アスラン(前作のライバル)は、前作に続き自分で考え選択すること。キラ(前作の主人公)は、大切なものを守ることを三人の主人公で描いた。
前作とは違い、ナチュラルとコーディネイターの確執は、強調して描かれることはなかった。
その代わり、軍需産業と政治の癒着が戦争の終わらない理由として上げられている。劇中では、その軍需産業と政治の結びつきをロゴスといった。
前半の機動戦士ガンダムSEED DESTINYの世界観。
ザフト(コーディネイター軍)=ロゴスの殲滅。
敵対
大西洋連邦(アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、アイルランド、アイスランド、グリーンランド、首都はワシントン)、ロゴス=戦争を続け軍需産業の利益をあげることが目的。
大西洋連邦は、エクステンデッドと呼ばれる強化兵士を使用していた。エクステンデッドは戦闘終了後、余分な記憶を消されていた。成長しない人間の象徴である。当然エクステンデッドは成長しないので、自分達の犯してしまった過ちを反省することもなく、自分たちが何のために戦うのか疑念も持たない。もちろん人殺しを、悪いこと罪などとは、決して思わせてもらえない戦闘マシーン。自分の意思を持たない、人間の悲劇を描いた。
終盤の機動戦士ガンダムSEED DESTINYの世界観。
オーブ連合首長国(南太平洋ソロモン諸島)、ラクス(前作のヒロイン今作ではオーブと同調)=中立とゆう理念、志、人の誇り自立心の守ろうとする=人の心の自立、人の心の自由を守る。
対比
デュランダル議長(実質ザフトの実権を握る)=人の成長、自我を抑制して他人との摩擦、衝突をなくし平和を作ろうとする=人の自立心を否定。人の積み上げてきた経験、人格の否定。
そもそも、人格とは何の何のためにあるのか。人格とは、自然環境の変化から人とゆう種を守ろうと、進化の過程で多様性として生まれたものだ。例えば大勢の人間が崖に落ちそうな時、全員同じ方向に向き全員同じ考えになってしまっては、全員同じ方向に向かって崖に落ちてしまう。つまり、種の絶滅を防ぐには、いろんな考えが必要。
種の持つ多様性とゆうのは、種の絶滅を回避するために存在する。また、種の多様性つまり人格は、他者との衝突によって形成されるものだと思う。
デュランダル議長の言う、ディステニープランとは、人の人格を形成する過程を隔離しコントロールするものであり、人の人格を画一化してしまう危険性があるものである。
人の多様性の否定、人の尊厳を否定するものである。
世界の破滅に対しても、その耐性が弱くなるわけで、人の進化の逆戻りともいえる。
そんな、デュランダル議長に対してラクス、キラは対抗するのだが脚本が悪いのか、いまいちぱっとしないセリフで対峙する。まあ、等身大の青年ならリアルにあのくらいのセリフになるのかもしないが、作劇である以上セリフでもテーマ性を喚起してほしかった。
まあ、テーマは、「自己の尊厳を守ること」と「自我の確立」だと思う。
シンは、成長しない主人公。デュランダル議長により成長を抑制された主人公として、反面教師として描かれている。
演出の都合上シンの怒りの矛先は、ロゴスが設定されていたと思う。ロゴスを壊滅させたのは、シンの活躍。
しかし、シンの感情の矛先は、確実にキラに向いていた。またしかし、最後の決戦なぜかアスランと対峙。レイ(ザフト兵シンの戦友)に成長を肯定させるための伏線。最後レイは、キラとの戦闘の時、キラと対話し自分にも「成長」の可能性があると悟る。
そしてレイは、自ら成長を望み成長を阻害する象徴ディランダル議長を、殺してしまう。自分の力で明日を切り開くとゆう意味で、とても希望ある終わり方であると思う。
そのせいかシンは、迷いが生じ最後の決戦で種割れ覚醒(一時的に戦闘力が上がる状態)しなかった。そして、敗北。でも、現実ってそんなものかもしれないとゆう最高の現実認知だと思う。視聴者にとっても。
筆者は、表現として成長しない主人公がいても良いと思う。まあ、最後まで生き残ったし。ルナマリア(ザフト女兵)と一緒だし。
何はともあれシンは、負けてよかったと思う。そうしなければシンは、一生成長できなかったと思う。
シンにとっては、これからが人生のスタート。
次に、キャラクター。
ラクス=平和の為でも人を騙したり、利用するのを否定。
対比
ミーア(デュランダル議長に利用される偽ラクス)=平和の為なら嘘も許される。
ミーアも最後は、デュランダル議長によって成長を抑制された被害者として描かれている。
筆者も考えさせられたが、このガンダムSEEDとゆう作品は、「平和」よりもまず、人の志、信念、心が大事だといっているのだ。人の志、信念、心がない「平和」などあっても意味がない、と言っているのだ。そして、信念を守る為なら戦争も肯定している。
筆者は、人の志、信念、心よりも、まずは、「平和」だと思う。大量殺戮兵器、武器ををまず否定し、人の志、信念、心を、追求するのが社会であると思う。武力を否定したうえで人の志、信念、心を追求するのが妥当だと思う。
まあ、ガンダムSEEDの世界は、いつもかなり追い詰められた状況であるが…。
カガリ(オーブ国家元首)そんな時でも、武力を否定していたし。後半オーブのはっきりとした意思を表明していた。それは美点。
反面、ラクスは、徹底的に志を守ることに徹していた。あくまでも、真に世界を作るのは、人の人間らしい心だとゆう信念を持っていた。個人的な見解だがその先にまっているのは、中世の封建制度の様な貴族社会だと思う。
ガンダムF91のコスモバビロニア貴族主義に近いものだと思う。
つまり、真の平和は、「一所懸命」であると言っていると思う。
筆者としては、その考えもわからんでもないので中立である。全編見ていてその考えは、主張としてあってもぜんぜん悪くないと思った。実は、ラクスは、ガンダムWのトレーズ派の考え。
まあ、ラクスが統治した場合大きな国家間での戦争は、なくなるかもしれないが、各地での小競り合いの紛争は絶えないと思う。
人間は、やはり戦うことで文明を維持するのか?次回作では、ラクスVSカガリを希望。もちろんキラ(ラクスの彼氏)VSアスラン(カガリの彼氏)である。
逆シャアみたいに。
制作陣によるガンダムSEED。
キラ=福田監督。ラクス=脚本の両澤氏。シン=おろかな子供。
キラ、ラクスと仲間達=人の成長を目的としたアニメ=ガンダムSEED。
対比
デュランダル議長=キャラクターの記号化、人の成長を阻害するアニメ。
筆者は、途中からこのように見えて仕方がなかった。何よりもキラは、殺しても死なない(日本語になってない)。
つまり、キラ=福田監督は、ラクス=両澤氏と共に、デュランダル議長=人の成長を阻害するアニメ、を打ち倒す。
そんなアニメ、ガンダムSEEDを作る。と言った強い意思表示を感じてしまった。
筆者の個人的意見としては、その志は、わからんでもない。
制作費は1話三千万、作画クオリティは素晴らしい。キャラクターデザインの平井氏のキャラクターは、ゆっくりとしたテンポの作劇にとても相性がいい。その、漫画的なキャラクターの動かしすぎない演技。表情の作画による演技は、素晴らしい。
緻密に作りすぎて複雑化し整合性をとるため作られた設定は、突っ込みどころ満載。そんな、設定の粗を探すのも楽しい。
それでも、全編を通して一貫したテーマを、喚起したのは、良いと思う。
リアルにこだわりすぎた脚本は、もうちょっとテーマを主張しても良かったたと思う。
脚本がリアルにこだわっているのに、フリーダム(今作最強ロボット)とキラは、チートすぎる。でも個人的には、許せた。カガリが平和の為にがんばったからだ。
前作よりバンクのシーンは、気にならない。合体シーンは、お約束。
セリフでは、なく映像で表現したかったとゆうことなのだが…。筆者の個人的意見としては、まあ良かったとも思う。
個人的には、作画も演出も前作より野心的で良いと思った。