sinsin さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
面白くないけど…。
【良い点】天野喜孝氏のビジュアルセンス。読み解く楽しさ。音楽。
【悪い点】難解で独りよがりな点。
【総合評価】この作品は、ノアの大洪水により滅びた世界で、沈んでしまった大陸有り無しを確かめにいった鳥を待ち続ける、ただ一人ノアの箱舟で生き残った少女の物語である。
押井監督が言うには、「鳥」は、「命」だそうだ。
少女は、その帰ってくるかもしれない鳥に対して、まだ世界は、滅びていないとゆう希望的観測、つまり世界に対して夢を持っている。つまり実際は、海の中に世界は滅んでしまったが、少女は世界はまだ滅びていないと思い込んでいる。
その、鳥を待つ少女の夢の世界に救世主、少年が現れる。
そんな、天使のたまごの世界観。
ノアの大洪水により滅んでしまった世界=現実。
対比
鳥=命を待ち続ける少女=希望的観測に基づく夢。
少女は、ずっとノアの箱舟の中で命の夢を見続ける。滅んでしまった絶望的な、命のないの世界で、鳥=命の帰ってくるのをずっと待っている。
テーマとしての天使のたまご。
少女の持つたまご=鳥が生まれる可能性=少女の夢の世界。
対比
少年の持つ十字架=男性の持つ道具=男性の性器=世界を壊す武器。
劇中では、男性の性器の形をした戦車が登場する。それで、男性の性器から世界を滅ぼす武器に転化できる。
少年は、手に持つ十字架で少女の夢であるたまごを割ってしまう。自分の夢ばかり見ていて外の世界を見ようとしない少女に、現実の世界を見せるためである。そのこと自体、男女の性交を象徴している。十字架は、救世主とゆう意味と、少年がその罪を背負っていることを象徴する。
なお、劇中で登場する魚は、押井監督が言うには言葉を意味するとゆう。劇中のセリフで少女が言うには、「魚なんかどこにもいないのに…」から魚は、「幻想の言葉」と転化できる。
つまり、劇中で巨大な魚の影を追っている人達は、偽りの言葉を信じている人達を表現している。つまり、情報化社会に踊らされている現代人を、象徴していると思われる。
少女は、そんな人達とは違いあくまでも、個人的な夢を見ているとゆうことだ。
以上のことからテーマは、「自己を制限し縛っている夢、呪縛からの開放」つまり、簡単に言えば「心を解き放て」だと思う。
少年は、少女の心を解放することで少女の可能性を、広げようとする。
シーンによっては、微妙なところもあったが、作画によるその繊細な表情は素晴らしい。
天野喜孝氏アートディレクションの、センスのある高密度ディテールの背景画は、不思議な存在感、リアリティがある。
海に沈んだ幻想の世界を巧く表現し、押井監督の要求以上の仕事をしたと思う。
レイアウトは、引き気味に遠くからキャラクターを映し、背景と世界観を強調した演出。
見ごたえがあり、評価、解明するのが楽しい作品。音楽も良くマッチしていた。アニメの域を超えた芸術作品。