sinsin さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
全編にわたって動機付けが弱い。
【良い点】よく動くし、カッコイイ犬がたくさん出てくる。
【悪い点】熊退治の動機付けが全編にわたり弱い。
【総合評価】全て観終わったので評価したいと思う。まずは前半部の感想。
まず印象としては実写と違いフカンが多く、上から見下ろしたカットが多い事。
何十匹同時にフカンで熊に襲いかかるシーンなんかは大変だったと思うし、5,6メートルもありそうな熊に襲い掛かってくる犬をフカンで上からカメラで写すなんて事実写では不可能だろうしCGでも不自然だと思う。
6話までは犬がしゃべらない。6話までは急展開でテンポがいい。フカンのショットで雪山の天然熊を巧く表現していたと思う。
なんというか雪山の厳しさと自然の厳しさ赤カブトの驚異とか。赤カブトの脅威ってのは多分自然の脅威でもあるんだと思う。
6話まではそんな自然とともに生きる人間達の生き様だったのかもしれない。
武田のじっさんなんて正にそう。秀俊さんは文明的な感じだけどでも本質は武田のじっさんと変らないという感じ。
赤カブト大熊の作画表現については、体毛の表現が独特の線によって表現されているので固まり感がありまるで漫画のような感じを受ける。その辺は原作漫画の雰囲気を意識したのだろうと思う。
この演出によって熊に重厚感を感じることが出来る。
でもよってたかって熊を悪者にしていじめんでも良かろうにとも思った。
実際、現実世界で普通に暮らしてる分には熊って襲ってこないんだから。
やっぱり人間が上の立場から熊を見下ろしてるような気もするし、熊だって生活があるだろうにそっとしておいてやれよとも思う。
前半部で熊を上から目線で見て人間にとってただの害獣でしかないことに気づいて犬対熊に路線変更したのかな?
ただ、人間対熊でやるよりは熊対犬にしたほうが迫力がありそうな感じ。
でも肝心の自然の驚異とか自然と生きるみたいなテーマ性は凄い軽くなってる。
でも子供がボーガンもって、熊退治するのってあんまり健全じゃないよなぁ。なんだか妙に生生しいし。
その辺もなんか考えたんだろうなぁと思うけど。
ちゃんと最初から考えて物語を創ってほしいと感じた。いや良くわからないけど。
まあ、赤カブトが野生で固定になってしまってるから、犬たちが統率的で文明的になってしまってるんだと思った。
とは言っても、カメラワークは世界観をよく表現しているし、赤カブト、大熊の多数の線による表現は圧迫感というか重厚感を感じてとても良い。戦闘シーンはよく動く。
銀牙 流れ星銀世界観と中盤以降を考察してみる。
赤カブト=野生の驚異。
対比。バランス=人間。
犬達=野生との共生。希望。
物語前半から導き出されるテーマ性のようなものはこんな感じだと思う。
勿論コレを軸に作られている設定だったと邪推してしまう。しかしコレはあくまでも自然とともに生きる武田の爺さんの生き様を中心軸として描いた場合だろう。
生き様に主体性のない小学生か中学生じゃ無理だ。表現にならないと思う。本気でやるなら実写で爺さんをいい役者でやればいい味が出ると思う。
中盤以降犬がしゃべりだし、勝手に暴走始めると今度は犬達の間での番長漫画みたいになる。
ベンがかっこいい。私は好きだった。
果たして番長漫画を犬でやる意味はあったかと言うと結構あったと思う。人間でやったらかなりバイオレンスな内容なのだが犬でやる事によってかなり和らいでるような気がする。
人間でやってもなんか暴力グループの抗争みたいになってそれほどスケール感がないと思うし、なんかありふれた感じに埋没してしまいそうな気もする。
かといって素手で熊退治ってのもファンタジーだと思うし。現代劇でそれやったら嘘っぽくなるし、動物虐待のようにも思える。
中盤以降よくオトコという言葉が良く出てくるのだが男ってのは何かゆずれないポリシーのようなものがあってそれを守る事の為には命を惜しまないと言う事だろう。そのような描写はベンの犬柄でまあ表現していたと思う。だけど最終目的は熊山の熊さん全滅させる事。
でもその肝心な部分熊退治の動機付けとかが全編をとうしてとても弱いと感じた。ここは単純にあだ討ちとかにすればよかったと思う。
よって、ビィジュアル面でいかに熊を悪者に仕立て上げるか苦心したわけだ。おかげで殆ど恐竜熊。
まあ、結論として私はこの作品のテーマ性において邪推する事はいくらでも出来るのだが確信的なテーマ性は喚起できなかった。
いかんせん全編にわたり熊退治するための動機付けが弱いと感じた。戦闘シーンはよく動き迫力もそこそこあってバイオレンスで娯楽性は高いと思うのだが。肝心の動機付けが弱い為頭悪そうに見えてしまう。
テーマ性と娯楽性の間で苦悩した作品だといえそう。
作画は良かったが21話を考えると…。もっとがんばれたかも。