こたろう さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
寸止めコメディ
ラノベ原作。一応はファンジーもの・・・と、言ってもいいのかどうか。
タイトルからわかるとおり、異世界からきた悪魔の王、魔王がこの我々の暮らす世界で就労するお話を中心にしたコメディです。
魔王が居れば当然その仲間の悪魔や敵対する勇者の勢力も居るワケで。
そんな連中が現代の東京の一角でイチ市民としてバイトで生計を立てつつ奮闘し、異世界からの干渉にも対応していく、という内容。
基本はコメディ(フリーター生活)、時々アクセントとしてシリアス(魔王と敵対勢力)、の両面で楽しめる作品です。
とにかく生活臭。
これが何と言っても魅力。
魔族の頂点だった魔王が、さながら我々庶民がビンボー学生だったときのうように、アパートの家賃や電気代を気にしながら、バイトのシフトに生活を支配される日々を過ごしているので、親近感からくる共感度と好感度が抜群です。
さすがというか支配者だったカリスマと才覚は、バイト生活においても有効なようで、仕事に励み、周囲の人々と融和し、努力し、臨機応変な応用力もあって、イチ個人としてのスキルが高い魔王さまは、一般市民になっても優秀。
そんなことしなくても、悪魔的なやり方はいくらでもありそうなもんですが、極真っ当な手段で社会的地位を確立して(バイトから出世して)この社会を支配してやろうと意気を燃やす、正義っぽい悪魔王w。
不当な事、不義理なことはしないじつに主人公らしい主人公です。
悪魔の王だけどw
その魔王を中心に、永遠のライバルである勇者や普通の人間の娘であるヒロインなど様々な想いが絡み、日常的でありファンタジックでもある楽しい日々を描いています。
この”楽しい日々”というのがキモ。
結構重苦しいシリアス展開に流れそうになりますが、必ず寸止めでコメディに戻ってくる展開。
ファンタジー世界の住人としてはありえない行動の魔王一派や勇者とその他の軍勢ですが、ここ東京においてはご近所に迷惑はかけられない存在。
派手だけど、必ず後始末可能な良識の範囲でのバトルと駆け引きで物語に強烈なアクセントを付けています。
このさじ加減が本作最大の魅力といっていいでしょう。
見る人がみれば、バトルやシリアスに物足りなさを感じるひとはいるでしょうが、この作品の良くできたコメディからコースアウトしないギリギリのラインで入れているので作品としてのカラーがブレない安心感が良かったとおもえます。
立場がアレなだけで、みんな良識的だったり等身大だったり。キャラへの感情移入が素直にできるのが楽しかった。
日常パートの出来事って、我々にも経験あるようなことばっかりなので、あるあるネタ的な面白さが活きているしキャラクターへの好感度が下がるようなこともしないのが結果的には大きな魅力。
魔王さまは、最後まで魔王たる懐の大きさを見せ続け、ヒロインに好かれたり部下の忠誠心の対象に値する部分を崩さないのが素敵。
魔王という肩書きがなけりゃ普通にお人好しの好青年。
もう、コッテコテの主人公キャラそのものです(^_^)b
多数あった2013年春アニメの注目株を押しのけ、放送が進むにつれ評価を上げていっただけあり、評判に違わない作品でした。
安定的なコメディとキャラクターの魅力に溢れた良作。
オススメです。