退会済のユーザー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
涙腺崩壊しました
大人になりきれない10代の若者がジレンマの中で葛藤し、もがき苦しみながらも自分の中で一つの答えを見出し大人の階段を上って行くいう甘酸っぱい部分が繊細かつシリアスに描かれていました。実在するコンテンツのパロディーが多く見られたコミカルな一面もこの作品をさらに魅力的にしてくれました。全体としてラブコメなのですが、笑いあり、涙ありで最高の作品でした。深い洞察力を必要とする心理描写や伏線、物語、キャラ設定、デザイン、BGMなどが私の中で他の作品と一線を期していました。こんなに泣いたアニメは見たことがありません。
私が泣いてしまった以下のシーンです。
①25話で大河が自宅のマンションで実母の元で暮らす決意をつづった竜児への手紙の朗読シーン
先ほどまでのシーンとの対比で空虚感を覚えました。ようやく、竜児と大河は両思いになって、やっちゃんの実家から帰るときは手までつないでいました。これからもっとお互い一緒にいて、もっとお互いのことを知ってもっと好きになるべきなのに、そこに立ちはだかる「幸せ」という壁。自分の置かれた宿命に抗い、その先の幸せを手にしようとする大河の姿勢に涙が止まりませんでした。
②25話の最後のナレーションとともに竜児がかつての2-Cで赴くシーン。
BGMの「オレンジ」もいい感じに感動的な雰囲気を醸し出していました。高2の一年間で竜児と大河はともに多くに時間を共有し、多くの困難を乗り越えてきました。家族、友情、恋など様々なものに囲まれながら、彼らは「この世界の誰一人見たことがないもの」が何なのかを探し続けました。
一年前にお互いにそれは何なのかはわかっていましたが、一年という月日を経てそれは確かなものになったのです。
これまですべてのシーンがフラッシュバックしてきて涙が止まりませんでした。
③19話の自分のマンションから竜児を送り出した後、大河が自分の幸せは竜児がいつもそばにいてくれることだと気づき泣き叫ぶシーン。
今まで「駄犬、駄犬」と竜児に横柄な態度をとったり、殴る、蹴る、食事を作ってもらうなどさんざん竜児をぞんざいに扱ってきましたが、竜児がみのりんと一緒になったら自分はもうそばにいられないことに気付いた時、自分にとって竜児は心の支えであり、必要だと初めて確信できたのだと思います。「失ってからわかる大切さ」を痛感した甘酸っぱい大河の心理描写に涙腺が崩壊しました。
最後にこの作品には未熟な10代の若者の心の葛藤が繊細なタッチで描かれています。大人になるにつれて忘れていく、幽霊などの見ることができないものを懸命に追い求めるなりきらない高校生のピュアな気持ちが、私が忘れかけていた青春のノスタルジアが心にスッと効きました。