りんご さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
余韻が……すごい。
Ⅲを観たくなくなりました。展開を知っている故の褒め言葉です。
いや、結局観るんですけど……。
どうせなら一気に観たいと思ってⅢも待って同時レンタルは失敗でした。
すぐには観れない。……観ないで返却して日を改めようか……。
いや、結局観るんですけど……。
救いのない物語なのに、なぜこんなに繰り返しみたくなってしまうのだろう。(原作含め)
言葉少ないガッツとグリフィスの二人の別離はもう……。悲しくてやりきれません。
そしてその先に待つとんでもない絶望を考えると、やはり続きを映像として観るのが怖くなります。
こう何度かこの作品を目にすると、
言わなければ伝わらないことと言わなくても伝わっていることの境界が絶妙で、
……うん、とても考えさせられます。人間って難しい。
原作はまだ二色なので読んでいられますが、色がついた時、こんなにメンタルをやられるとは。
いや、二色でもメンタルえぐられるんですけど、吹き飛ぶ肉片、血の雨、
隠さない鮮やかな色が、戦う動きが、静止画では得られない感情が生まれます。
映像化するべきで、するべきでない。すごい完成度でした。
戦争のシーンは圧巻。劇場版クオリティを超えています。
馬ってどうしてあんなに人間の脚のように動くんだろう、何をしているのかわかっているのかな、とか
戦いが終わって、あれだけ転がった人、馬、鎧、武器はどうするんだろう、とか
今までいろんな、戦争の描写がある作品を観てきたというのに、初めてそういうことを思いました。
ガッツとグリフィスの別れの決闘も素晴らしかった。
二人の剣圧と(ほとんどガッツか)、雪についた足跡はとても胸打つものがありました。
きちんと物語を理解していれば性的なシーンも「エロ」とは映りません。
そこらの下品なものとは一緒にしてほしくありません。同じ言葉を使ってほしくもない。
とはいえ豊崎さんの演技はファンにとっては嬉しいものでしょう。
個人的には無くても……と思いましたが、グリフィスの心情の居場所と、
グリフィスへの想いが募って、実ったかと思われたシャルロットの喜びと戸惑いの声、
繋がっているはずなのに心は通っていない描写はアニメならではでした。
もっと掘り下げるべきところを、きちんと描いてきていればより活きたシーンだったでしょうけど。
作中の音楽もさることながら、EDがかっこよすぎです。
少人数の不協和音から壮大で壮絶な雰囲気の曲は鳥肌が立ちました。
サントラ欲しいです。
カットは仕方のないことだけれど、Ⅰに比べてⅡは非常に満足いくものでした。
それはおそらく、Ⅰから間が空いて視聴しているせいです。
たしかⅠではキャラクターへの感情移入は難しい出来で、
原作を知らない人には面白さが伝わりにくいものだと思います。
今回もカットをされて残念なシーンがありましたが、個人的には割り切れます。
この劇場版から原作に興味を持って、読んで、また観れば違った見方が出来るでしょう。
そういう売り方でいいと思います。
大人の事情っていうのは何にでも付き物です。
まだⅡですが、よくこんな物語を映像化したな、と
他を寄せ付けない、一線を超える作品です。
さて。続きを観てまたメンタルをやられに行ってきます。