くろゆき* さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
『いいわ遊んであげる…永遠に終わらないこの6月を。好きなだけね』
心の芯に響く名作を視聴出来て、感激しています。
この作品の製作に携わった全ての方々に、心からの敬意と惜しみない賞賛を送ります。
ED曲「対象a」が、世界観にぴったりの哀愁を呼び起こしますね。
ホラーゲームが原作のこの作品、中高生対象の色モノ作品と思っていましたが、受け手の魂をゆさぶることができる素晴らしい作品でした。
1期と違って凄惨なシーンが少なく、後半盛り上がりに欠けるという批評もあるようですが、ワタシの感想は全く逆です。
残虐に、無慈悲に殺戮が繰り返される悲劇だからこそ、解は全ての救われなかった魂の救済のために、正々堂々と真っ向から悲劇に立ち向かう必要があるのです。
悪意に対してそのような手段で打ち勝つことは、気の遠くなるほど難解なことです。
しかし世界には底の見えない悪意が存在し、確実にジョーカーをひいてしまう被害者がいる。
その不信感から、疑心暗鬼になって軋轢が生じ、悲劇は始まってゆく。
回避するにはお互いが心を開いて、絆を結び直し、仲間と困難に立ち向かうしかない。
それが道を切り開いてゆく唯一の道だというメッセージは、1期で敷いた伏線を登場人物たちが丁寧に回収してゆく姿に現れています。
このため人形を渡すという些細なシーンでさえ、心を揺り動かされます。
この徹底した作り手の意図に本当に感動させられました。
犯人も注意深く考えて観ていれば、1期で気付いてしまいます。
しかし悪を為そうという魂が、その歪んだ愛なのだという設定は、困難を乗り越えようとする登場人物たち自身が、1期で様々な悲劇と過ちを繰り返しただけに、立場が紙一重と感じられ、憎むことが何の意味もなく、赦すことができなければ前には進めないと教えてくれます。
「全ての人が絶望や孤独に打ち負かされず、運命に立ち向かい、幸せを掴んで欲しい」
そんな気持ちにさせてくれる作品でした。