にゃっき♪ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
花鳥風月に遊ぶ
扱っている題材が百人一首を使った競技カルタ。
老若男女、関係なく楽しめ、次々と変化する決まり字、自陣敵陣の札配置や送り札における戦略性、連戦することで記憶力だけでなく忘れる能力も要求される、知的かつ体力勝負という一頭地を抜くような素材が隠れていたんですね。
古典的な熱血スポ根作品の系統を汲んでいるような、しっかりとしたストーリーを、少女漫画原作らしい繊細で柔らかい空気が包んでいる、よく練られた光芒を放つ作品だと思います。
誰でも感情移入がしやすくするため、主人公は世間並みで個性のない感受性の持ち主が目立ちますが、この作品の主人公の綾瀬千早は時には周りが見えなくなってしまうほどのカルタ馬鹿の無駄美人。
肉まんくんや机くんなどインパクトのある瑞沢高校のかるた部のメンバーや、ひょろくんなどの憎めないライバル、周囲を固める顧問やかるた会の原田先生にいたるまで、個性的で魅力に溢れるサブキャラが数えきれないほど登場します。それぞれのカルタとの出会いや想い、葛藤や成長の描き方も丁寧で、どんな世代にでも楽しんで受け入れてもらえると思います。
萌え要素が少ないことやタイアップがつきにくかったのか、円盤の売上が伸びず、続編が制作されるか心配しましたが杞憂だったようで本当に良かったです。
今日(2013/07/28)、近江神宮で行われている今年のかるたの甲子園の個人戦では、数年前までは400人台だった参加者が994人という大盛況で主催者側も悲鳴を上げているということ。
コミックやアニメをきっかけに陽のあたる場所が拡がっていくのはとても喜ばしい事と思います。