「ブレイク ブレイド 第一章「覚醒ノ刻」(アニメ映画)」

総合得点
66.2
感想・評価
310
棚に入れた
2573
ランキング
2990
★★★★☆ 3.8 (310)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.8

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2S-305 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

正統ロボットアニメの新境地を拓く快作

輸入BDにて視聴。

誰もが持っている石英を動かす力「魔力」による動力を主とした世界において、「魔力」を持たない主人公「ライガット」が古代人の作ったアンダーゴゥレム「デルフィング」に搭乗し、さまざまな戦いの中での葛藤や苦悩の中、戦争の不条理や愛憎、かつてのクラスメートでもあり親友の妻である「シギュン」との微妙な関係などを交えながら描かれていく正統派ファンタジーロボットアニメ。

映像的にはファイブスター・ストーリーズをちょっと思わせるような広大な地平線の広さを感じる世界観が見事に演出されており、登場する「ゴゥレム」と呼ばれるロボットも派手な武器など一切ない極めて地味なもので、どちらかというと西洋甲冑の延長線上にあるような設定であり、飛び道具も弓矢に毛の生えたようなプレスガンが主装備という徹底ぶりで、古いアニメの「機甲界ガリアンOVA 鉄の紋章」を思わせる剣戟の音が聞こえてくるような割とリアリティのある武器が用いられ、ビーム兵器・ミサイルなどは一切出てきません。
前述の「魔力」と呼称されるものもいわゆる「魔法」の一括りで片づけられる万能なものではなく、「石英を動かすことができる」といったきわめて限定的なもので、妙に説得力のある世界観で描かれるストーリーは、これまた世界観を崩すような突拍子のないものが一切ない、しかし戦争の生々しいものを痛いほど感じさせるもので、全6章を一気に見てしまいました。

「能無し」である主人公のコンプレックスや苦悩、過剰になりすぎない、しかし微妙に揺れ動く「シギュン」との関係や親友のゼス、シギュンの夫でもあるホズルとの暑苦しくない友情や葛藤など、くどさを感じさせないバランス感覚が絶妙で、ジルグやボルキュスなどの毒のあるキャラやナルヴィ、ナイル、クレオなどのその他の登場人物もキャラが良く立っており、実に魅力的です。

アニメが予想外に面白かったので、視聴後に原作を思わず全巻購入してしまいました(輸入BDよりよっぽど高かった・・・)。原作はこれまた非常に面白いですね。

後半は原作に追いついてしまったためオリジナルストーリーになっており、ジルグとスペルタ部隊との戦闘シーンやザンスの死に様などが描かれていないのは少々残念でしたが、久々にロボットのアクションに魅せられるアニメに出会うことができた、といった印象で、派手な武器がない反面、戦闘にリアリティがあり、広大な空間を感じる作画も相まって実に緊迫感があり、「とりあえずロボットを出しておく」といったアニメと一線を画したものを感じました。

シリアスですが鬱なだけではなく、戦争の不条理を十分に描きながらも無駄に難解になることがない「純粋な面白さ」を感じることができる世界観・ストーリーは秀逸で、個人的には正統ロボットアニメの新境地を拓く快作だと思います。

原作は続いておりますので、是非テレビアニメ化してほしい作品です。

投稿 : 2013/07/30
閲覧 : 502
サンキュー:

8

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