カミリス さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
主人公さえまともなら名作
原作未読。
視聴前は直木賞作家が原作ということで期待したものだが…。放送当時は7話できりました。最近改めて全話視聴。
ミステリー推理ものというのはあくまでも表向きで、その裏には一つ一つの物語の中に、中心軸につながる仕掛けがあり、ストーリーはしっかりと構成されている。こういったところはさすが直木賞作家というべきか。
しかし、人物描写に関しては整合性の取れてないところが多い。これはアニメがそうなのか、それとも原作でもそうなのかはわからない。ただ、アニメの中では特に主人公でそれが目立つ。
{netabare}
・主人公に感情移入できない。
終始主人公の行動に対して「えっ…?」と疑問を持つことが多かった。終始危険を顧みない能天気な行動をし、なんでもかんでも首を突っ込みたがるように、好奇心をもとに行動する描写が多い。明らかに危険そうに見えてもだ。
基本的に彼は恐怖よりも好奇心のほうが勝るのだ。むしろ恐怖があるのかどうかすら怪しい。
さて、そんな彼がヴィクトリカを守るために体を張るシーンだが、上記のことを踏まえると「勇敢だ」「勇気がある」とは思いにくい。勇気がある行動というのは、その背景に死の恐怖があってこそだ。
そいったこともあり、命のやりとりのシーンでは緊張感は生まれなく、主人公への感情移入もしにくい。
次にヴィクトリカを気にかけたり、助けたりする主人公の動機だが、これは作中で何度も言っているように「友達だから」だ。これだけみると、主人公は友達想いのいい奴、という風に見えるが実はそうではない。
主人公のもう一人の友達であるアヴリル。こいつに対する行動が酷過ぎる。話の途中でどっか行ったり、置いていったり、約束を目の前でドタキャンしたり。
そう、こいつは友達だからとか関係なくヴィクトリカ優先なのだ。それはもう恋とか愛の域じゃないだろうか。とにかくアヴリルよりかは重要度はかなり高い。この時点で主人公は、自分にとってヴィクトリカはただの友達じゃない事に気付くべきである。
では、そのヴィクトリカと好奇心はどちらが勝っているか。
間違いなく好奇心である。ことあるごとにヴィクトリカを守る描写が目立つが、問題は17話。幻覚剤がまかれた場所にヴィクトリカを置いてロスコーを追いかけたシーン。
最初観たとき「おいマジかよ」と絶句するほどだった。
ヴィクトリカが自分にとって大事な人であれば、あそこは間違いなくヴィクトリカの安全を確保してから行動するはず。
なのに、まさかのロスコーを見つけた途端ヴィクトリカに何も言わずに即行動。ヴィクトリカが声をかけたら「君はここ(幻覚剤がまかれた場所)で待ってて」とかどうかしてる。しかもつい先ほどまで、幽閉されていたのにも関わらずだ。
この描写により視聴者は、「あ、ヴィクトリカってそこまで主人公にとっては大事ってわけでもないんだな」と思いかねない。というか俺は思った。しかも、これ終盤だからね。
ここまで終始成長のみられない主人公は珍しい。おかげで主人公のことは好きになれず、イライラしたものである。
だからこそなのか、23話,24話は純粋に物語を楽しめた。ゴシック的な魅力もあり、コルデリカの愛があり、ヴィクトリカの成長がみえ、物語の最後の伏線回収があり、美しさがあり、GOSICKの面白さが詰まった回だった。
{/netabare}
主人公さえなぁ…。主人公以外の人物は結構好きなんだけど…。せめて、日本帝国軍人の3男だから(義務)→友達だから(友情)→好きな人だからor大事な人だから(愛情)みたいな変化が観たかった。
もうちょっと感情移入できたならきっと号泣してたはず。
※あと細かい点。現実と比べるのはあまり好きじゃないが、身長高すぎね?ヴィクトリカが140cmってことは、主人公はだいたい170cmくらいだろう。14歳で170cmは当時の日本人にしては高くね…?戦後はさらにでかくなってて、多分180cmくらい。男ならあり得るだろうけど、瑠璃とか同じくらいだったぞw女性で180は当時ではやばいだろw
同じ感じで、14歳時での周りの大人たちをみてみると、どいつもこいつも2m越えばかりですわ。こういう世界観だからこそ、そういった細かいところが気になってしまう…。
※ヴィクトリカの気だるそうな声や話し方は癖になるね。悠木さんすげーって思った作品。