うにうに さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
なんじゃこりゃ
ええ~これで終わり? 丁度全体の2/3くらいを消化したかと思ってた所でエンディングが流れ、中途半端な事はなはだしい。
まず思ったのはジブリは宮崎駿が手を出さなくなると、とたんにリアリティの重みが無くなると言う事だ。あんなに小さい生物なら、絶えず食事を取らないと、代謝が追いついていかないと思うし、背丈以上の雑草の中を動き回ってるなら体がキレイすぎだ。雑菌やウイルスに対する対策も講じねばならないのに、アリエッティは自分の部屋の中に草木をそのまま持ち込んでいた。何より、家族までいちいち「アリエッティ」と言う呼びにくい名前を言い続けさせた事は不自然で、普通なら「アル」でいいだろう。人間界につづく桟道も、誰が作ったのか台詞で説明があっても良かったと思うし、ダイヤル黒電話と携帯電話が共存するという奇怪な時代設定といい、なんか非常に雑である。
しかし何よりマズイのは、これが作られる動機というか、要するにテーマだね。今の時代にこれを選んだ理由みたいなのが全然感じられなかった事だ。
後期駿はいろいろ言われてるけど、私はハウルもポニョもあるテーマで貫かれていると思う。それは「個人のワガママが世界を変えちゃってもいいよね」と言うものだ。ポニョは人間になりたくて、ソフィーはハウルをモノにしたくて、世界(自分の周りの環境)そのものを変えてしまう。「世界は滅んだけど、私は自分の目的を叶えられて満足」と言うのは、いろいろ今の時代に見合った内容ではないか。
駿は我々常人には計り知れないセンスとカンで、そのように時代との接点を求めて話題作を提示してきた。しかし、如何に傍にいようとも、他人にはそのセンスやカン。駿が感じてきたものを継承する事はできない。
「恩返し」「コクリコ坂」「アリエッティ」、ジブリの最近の非宮崎作品でも、宮崎は全ての企画に携わっている。それでこれだ。
氏亡き後のジブリが忍ばれる。