「夏雪ランデブー(TVアニメ動画)」

総合得点
70.1
感想・評価
866
棚に入れた
3999
ランキング
1647
★★★★☆ 3.6 (866)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

想い辿り着く先はどこかな。

花屋を営む30歳 島尾 六花に恋心を抱き無駄に植木鉢を買う8歳年下の葉月 亮介と3年前に他界し幽霊になった旦那・島尾 篤との三角関係の恋模様はどうなるの!?

と、答えは生者しかいないと予想し心情描写の過程と想定外の展開に期待しつつ観たわけだが、他人と自らの想い想われる言葉の重さを考えさせるのが本質だったと想う。

その心情変化は、現実味とメルヘンな少女心をくすぐるような掛け合わせとなり一概にご都合主義とくくれず感慨深い気持ちにさせてくれる。

誰の視点から観るかで、この作品は全く違う評価になる。未亡人の六花に至っては、旦那に先立たれどこの馬の骨かも分からない男・葉月とラブコメになること自体おかしいと感じる人もいるかも知れない。
逆に未亡人に恋する理由がわからないという見解もあると想うし、幽霊の島尾は早く成仏しろよ呪縛霊が!とか様々な思惑が乱れてゆく。

私は幽霊の島尾視点で観ていた。きっと私が死ぬ時もこんな想いを抱き、素敵な伴侶と過ごすした時間と将来がない未練と幸せを願いたいと夢みていた。幽霊となり妻ともう一度会えたらと考えてしまうのは屈折した願望であり苦しめると理解しつつ願ってしまう。
彼の行動は矛盾は多いけど生者にとっての正論と死者になった考え方に歯止めより六花の幸せ・あわよくば自分が・・・という当たり前な感情が滲み出ている。
実際、幽霊を生者に置き換えてみると、ただの王道な三角形ラブコメになるのだが、幽霊という存在が美化された決して勝てない恋敵となり救われない状況が、この作品の持ち味になっている。

そんな恋敵さえ救おう(成仏させる)とする純真無垢な葉月なら任せても良いのかもしれない。だが、簡単に割り切れない根本には、六花を想う気持ちに苦悩・葛藤し互いの未練が枷になっている。 その真相がわかる最終話は見応えあった。

その鍵となるのが絵本の存在である。
絵本について{netabare}
島尾と入れ替った葉月に六花との思い出を見せる装置になっていたと想う。そしてチビ六花視点から島尾は、ずっと葉月を観察していたのではないかと感じる。同時に六花を託すに値する器か試していた。絵本の内容は島尾が六花への愛情の深さだと想うがメルヘンな内容で分かりづらいが、葉月が体に戻って六花に伝える言葉は、「俺は、店長とあの人の記憶の一部を共有できる、唯一のつもりでいるんです」という判断から辻褄があう。ただの推測に過ぎないが、葉月が六花に向ける好きという好意の度合いが島尾が見える因果関係であったように感じる。

色々と無駄に綴ってしまったけど、死者にとって想い人ほど消えても記憶から忘れて欲しくない我侭で不甲斐ないと分かりつつ願ってしまう。島尾の言葉を拝借すると「僕ガ死ンダラ僕ノ骨少シ食ベラレル?」 夏雪草に隠された骨と遺書が切ない余韻になった・・・。
最後に孫におじいちゃんと呼ばせる辺り良い意味で卑怯だなと感じた。島尾を受け入れ葉月と六花を見守っていたのは2人だけではないという意味も含ませ後を濁さない為に部屋を処分させ成仏する姿は未練が無くなったように見えた。{/netabare}
タイトルの意味も観終わると納得してしまうほど良い作品だった。個人的な解釈だが一応ネタバレにしておく。
{netabare} 夏雪は夏雪草の略として花言葉もあるが、夏雪草は島尾を表しランデブーは六花と葉月を掛け合わせた3人の寄り添った関係性ではないかと感じた。{/netabare}

心の拠り所と折り合いを見つける花が花であるように咲く日を願った想いを愛でては如何でしょうか。

投稿 : 2013/07/25
閲覧 : 380
サンキュー:

33

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