くろゆき* さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私を・・・使って。
結構酷評が多いですが、かなりいい作品だと思います。
全体の評価通り、作画・音楽に関しては他のアニメと一線を画していると思います。
OPやEDは個人差はあるかもしれませんが、BGMや挿入歌は文句なしです!
問題は評価の悪いストーリーやキャラの心情描写ですが、これは仕方ない面もあると思います。
この作品はキャラの心の動きをびっくりするくらいに一人一人描き分けて、さらにアニメのキャラらしくないと言いたくなるくらい、リアルに表していると思います。
それはとても移ろいやすく複雑で、仲間を裏切ったり、理に適わない反感をもったり、愛に飢えていたりなど黒く見苦しい部分もあれば、誰かに尽くしたがったり、護ろうとしたりなど美しい部分もあります。
だからこそ腹の立つキャラも多いし、行動に一貫性がないように見える。それは人間なら本来当たり前で、でもそこがアニメのキャラクターらしくなく不快に感じる人がいるのかもしれません。
しかしその複雑な感情の一つ一つを、ボイドやロストクリスマスなどこれも複雑な設定やストーリーとともに一回30分、2クールで分かりやすく面白く、そして最後まで描き切るというのは至難の業ではないかと。(ただやはりそこは、急に話数が減らされたとか言う話も聞いていないので描ききってほしかった)
たとえばストーリーも、最初安穏で退屈だった集の生活が、多くの犠牲を出しながら壮絶な体験を経て、再び今度は充実した安穏を手に入れた、という大筋を見れば、集を守ると決意したいのりが死んだ結末や、いい人間ばかりいなくなって気に食わない人が多く生き残ったことも納得がいくと思います。
設定でも謎を多く残したところもありますので30話くらい使ってもらったほうがもっといい作品になったと思います。
普段のアニメを見るような感覚は封じて、キャラ一人一人の心情描写やストーリーのメッセージ性に神経を集中させて見れば、そうでないときと全く違う作品に感じられるはずです。