STONE さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
生徒会長選挙でここまでやる?!
原作は未プレイ。
18禁ゲームを地上波アニメにする場合、当然18禁の要因となる部分はカットされるが、この
作品通して見ると、普通の漫画やラノベ原作作品よりエロいシーンが少ないという、なんとも
不思議な作品。
生徒会長選挙を軸に恋愛要素が絡むストーリー。
当初は部の存続のために生徒会長選挙に臨んだ大島 裕樹だが、選挙活動を通じて校内の問題
点を知ることで、目的が変わっていく過程がいいな。現実でも当初は不純な目的だったことが、
そこに踏み込むことで変わっていくことって、よくある。
選挙の方は、協力者である現生徒会長の毛利 夜雲により、選挙に関するノウハウが
語られたりするが、この辺はなかなか面白かった。
ただ泡沫候補の一人である大島が支持を上げていくには地道な選挙戦略だけでは難しい
はずで、後半の支持率の急上昇はちょっと説得力に欠けるかな。
毛利発案の起死回生の奇策みたいなものがあったりすると、作品の盛り上がりとしても
面白かったのではないかと。
選挙自体は国政選挙のパロディみたいな面もあるが、この選挙は現実の国政選挙すら凌ぐ
えげつないもので、誘拐、ひき逃げなど犯罪のオンパレード。これで警察はおろか、教師も介入
しないって、どうなんだろう?。
フィクション作品の設定や展開の是非や好き嫌いは結局のところ、人それぞれだと思う
けど、SFやファンタジー要素皆無で、ギャグ作品でもない作品での、この展開はちょっと
醒めた。部室内にビールサーバがあって、教師が昼間からビール飲んでいる描写も含めて(笑)。
複数ヒロイン攻略可能のマルチエンディングゲームをアニメ化した場合の問題点は以前、他の
レビューで書いたから、ここでは詳細を書かないけど、端的に言ってしまうとやはり住吉 千里
以外のヒロインに関しては割を食った感がある。
特に東雲 皐月は明らかに大島に好意があったようだが、彼女の気持ちの決着は描かれず。
ヒロインに関して、すっきりしたタッチのデザイン自体は個人的には割と好きだったり
するが、総じてあまり魅力を感じなかった。
ヒロインの描かれ方が、ストーリー展開に絡む問題点を中心にしたものが多かったため、
どうしても陰の部分ばかりが目立ってしまったためかな。
ストーリー展開とはあまり関係ない日常シーンで、ヒロインがただ楽しげな陽の描写も
あれば、また印象は変わったかもしれないけど。
この陰の部分が際立っていたのはやはりメインヒロインである千里。いわゆるヤンデレ
キャラの範疇に入るとは思うけど、通常のヤンデレキャラがある対象を好きすぎて病んで
いるのに対して、千里は過去の弟の死が絡んでくるので、余計に屈折している。ここまで
根深いとどうやって解決するのか?と思っていたら、木場 美冬と話してあっさり解決。
ちょっと気抜けした。
全体としては「粗の多い話だな」という印象で、例えば治安部なども「悪いのは堅平派
でした」みたいな締め方をしているが、警察国家のような監視体制自体は治安部全体の総意で
やっていることで、その辺は毛利を始めとする治安部全体にも責任があると思うんだけど。
そう言えば序盤で大島だけ、辰巳 茂平治のへのへのもへじのマスクや、佐賀 玲二の頭に
プロペラが見えるなどの、特殊能力?のような描写があったが、あれってその後の説明は一切
なかったなあ。あれって何だったんだろう?
取って付けたみたいな言い方になってしまうが、定法ではあるが、引きの多い各話の終わり方と、
そのままEDに繋がる演出は結構良かった。